共通の認識
やっと息子の小学校の運動会が終わった。もともと5月27日に予定されていたのが雨で延期になったのだ。この延期の顛末については、同じ学校の保護者仲間(?) でいらっしゃる渡邉さんと既に大いに盛り上がったので、ここでは繰り返さないが。同じ日に運動会を予定していた他の学校では、翌週末まで延期せずに平日の30日に開催したところも多かったように聞く。2回の週末が運動会で押さえられてしまうと結構大変という家族も多いだろう。まあ、怪しい雲行きながら何とかこの週末で終わってよかった。
とにかく5月の日照時間は、例年になく少なかったらしい。
と、改めて言われなくても誰もが肌で感じていたことだけれど、気象庁の発表では「千葉など6地点で5月の月間日照時間の最小値を更新した」そうだ。
ところで、この「例年になく」の「例年」って、具体的にどんな意味なのかなって思ったことはないだろうか?
あるいは、「曇り時々雨」と「曇り一時雨」の違いとか。
先週だったか、テレビで「『時々』は1日のうち6時間以上、12時間未満連続して発生する時をいい、『一時』は断続的に発生し、連続して6時間未満の時」と説明されていて、何となく驚いた。そういう風に具体的に決まっているものだとは、これまでは意識して聞いていなかった。せいぜい「時々」は複数回、「一時」は1回だけ、くらいの認識しかなかった。面白いなと思ったので、気象庁の HP で調べてみると、さらに色々驚いた。
例えば、「朝晩」は、「午前0時頃から午前9時頃までと、18時頃から24時頃まで」(午前0時台を朝と認識する人がどれだけいるだろう?) 、「朝夕」は、「午前0時頃から午前9時頃までと、15時頃から18時頃まで」 (この時間枠を微妙にズレてしまう事象の場合はどう表現するのだろう?) と、いちいち決まっているそうだ。
もっと不可解だったのは「朝=夜明けからおよそ9時頃まで」と、「朝のうち=午前6時頃から午前9時頃まで」。この時間枠の開始時点が「夜明け」と「午前6時」という、違いはどこからくるのだろうか。
ちなみに「夜明け」というのは、「日の出の前の空が薄明るくなる頃」と、具体的な数字ではなく、これとは別に「明け方」は、「午前3時頃から午前6時頃まで」と具体的。
こういう決まり、皆さんは知っていましたか?
でも「例年」については、「いつもの年」とそっけない。「時々」なんかが具体的に数字で決められているなら、「例年」も、「過去○年間の平均」などと、具体的に決められていてもおかしくはない気がする。
こう知ってみると、今さらながらに、この言葉はこれこれの意味ですよ、という共通の認識があって初めて、言語って成り立つものなのだと思う。たとえば私が「夕方」を「午後4時から7時頃まで」と認識していたら、「夕方にはにわか雨」という予報を聞いて「私は4時までに帰ってくるから傘は要らない」と判断する。ところが気象庁では、夕方は午後3時から6時までを指しているので、予報通りに3時半頃に雨が降ってしまい、私は「天気予報に騙された!」ということになる。
気象庁が使っているこの気象用語の具体的な意味を、一般の人が充分に理解しているとは思えないが、翻訳者として訳文を作るとき、読む人が正確に意味を理解してくれるような、誤解を生まないような言葉の選び方、表現の仕方を心掛けなければいけないな、と思うのである。