ワシントンDC
11月上旬に開かれた学会のため、数日間ワシントンDCに行ってまいりました。3日目の夕方に、ワシントンDCにある様々な戦争の記念碑を回る徒歩によるツアーが開催され、友人と参加してきました。
バスでベトナム戦争記念碑へ移動し、そこから韓国戦争の記念碑、リンカーンモニュメントの前を通過して、リフレクティングプール脇を歩いて、第2次世界大戦の記念碑へ向かいました。記念碑やモニュメントを見ると、その国がどのように歴史、特に戦争の歴史を記憶・記録しているのかが良くわかります。ベトナム戦争の記念碑は当時のデザイン学校の学生がデザインしたものですが、非常に簡素です。黒の大理石に戦死者の名前が彫られています。近くによると大理石に自分の姿が反射し、過去と現在の対話が図られます。親類の名前を見つけた訪問者は、紙を石の上に乗せ、鉛筆でなぞります(10円玉の上に紙を乗せて、鉛筆でこするのと同じ要領)。また、様々な小物が置かれていました。現地の小学生からの手紙や、キーホルダーなど。
ベトナム戦争記念碑の隣には、2つの銅像があります。1つは戦没者のための銅像で、アメリカらしく、数名の銅像のうち1体は黒人と思われる身体的特徴のもの。その隣にある銅像は、より新しいもので、戦争に関わった女性を記念しています。
人気の高いベトナム戦争のモニュメントとは対照的に、韓国戦争のものは訪問客数が伸びません。アメリカが苦戦しましたが、歩兵をあらわす像の数々の表情は非常に厳しく(怖い位です)、特に夜になるとしたから照明が当てられ、懐中電灯で下から顔を照らしたお化けのようです。
第2次世界大戦のモニュメントとなると、様相が打って変わります。非常に大規模なモニュメントです。見た目は非常にきれいですが、すこし考えてみると、1936年のオリンピックスタジアムに似ていたりと、やや複雑な心境にさせるものでもあります。
唯一残念なのは、キング牧師のモニュメントが無いこと。リンカーンモニュメントから議事堂へつながる芝生のエリアは、アメリカの歴史の中で非常に重要な意味を持つ部分です。リフレクティングプールのすぐ脇でキング牧師の演説が行われたことも、忘れかけられています。もしも第2次世界大戦のモニュメントの代わりに、キング牧師のモニュメントがあったならば、ワシントンDCが都市計画上あらわす存在意義が代わっていたのではないかと感じました。