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ありがちな失敗

Hubbub from the Hub

通訳・翻訳者リレーブログ

今日は先日あった、ありがちなハプニングを。

数年前から関わっている建築関連のプロジェクトのTV会議が日本時間の朝8時から、ニューヨークと結んで行われるという案件。結構頻繁に関係者がアメリカと日本を往復していますが、さすがに毎週の会議は電話やテレビで済ませることが大半で、この時もその気分でした。7:45頃に会議室に入り、出席者の方々も続々と集まり始めました。大きなプロジェクトですから、色々な部門の担当者が集まり、合計で15名位が日本側の出席者でした。8時になって、約束どおり日本側がNYへ電話をかけます。珍しくすぐにつながったものの、音が出ない。相手の声が聞こえないし、相手にもこちらの声が届いていない様子。回線は正しいか、機材はミュートになっていないかなど、色々考えてみます。それでも原因は見つからず、1度回線を切ってからかけ直してみます。しかし、やはり声が出ません。結局20分位たった頃になって、アシスタントの女性が「あ、テレビの音量がゼロになっていた」だって。リモコンで音量を上げると、何の問題も無く相手の声が聞こえます。しかし相手にはこちらの音声が届きません。「もしや」と思いながらもボディーランゲージでNY側も音量を確認するように指示すると、相手も同じ状況。お互いに音量レベルをゼロにして「音が聞こえない」と騒いでいたのでした。

20分遅れで無事に会議は開始。冒頭にアジェンダを確認し、「ではNY時間の7:30頃までに1つ目のテーマを片付けましょう」と言ったとたん、先方から「あと10分しかないよ」との声。日本側は8:20分から9:30位までを1つ目の議題に費やそうと考え、時差の14時間を計算して「7:30」と言ったのですが、実はサマータイムだったのです。それに気付いた会議の参加者の皆さん、特に会議をセットしたアシスタントの女性は顔面蒼白です。NYは「会議をNY時間の午後6時に始める」と言われていたのです。日本側は時差の変化に気付かず、午後6時は日本の朝8時の気持ちです。しかし実際は朝7時が、NYの午後6時。従って先方は1時間もビデオ会議の機材の前で待ちぼうけだったのです。「いやー、どうも回線が悪いのかと思ってね」と悠長なNYからの参加者。「でも30分くらい経って連絡がないなら、日本のオフィスに電話くらいしてもいいんじゃない?」と心の中で思いながら、日本側の必死の「ごめんなさい」を訳しました。

こんな展開で、その後はNYペースで話が進むのかと思えば実際はそうでもなく、お互いに「もう少し検討します」がいくつか出て、無事に会議は終わったのでした。

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Hubbub from the Hub

幼い頃から英語に触れ、大学在学中よりフリーランス会議通訳者として活躍、現在は米国大学院に籍を置き、研究生活と通訳の二束のわらじをはいている。

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