通訳用モバイルPC
先日新しいモバイルパソコンを購入しました。通常、自宅で作業をするときには、東芝の比較的大きなノート型パソコンを利用しています。やはり何時間もパソコンの前に座って翻訳をしたり、資料を作成したりするには画面が大きく、いろいろなメディアの再生や書き込みのできるものの方が優れているからです。しかし、例えば通訳のブースの中で電子辞書代わりにパソコンを使用したり、出張先でメールを確認したりするには、より小型のパソコンが便利です。これまではSONYのVAIOを使っていましが、先日壊れてしまいました。メインのパソコンがあるので、Windows Vistaが発売されるまで購入を待とうかとも思いましたが、やはり不便が大きいので、購入を決めました。
購入するに当たり重要になったのは、やはりある程度の性能が確保されながら、小型であること。ハードディスクの容量やCPUの性能が劣ると、やはり作業中に不便が発生します。しかし仕事で使うだけですから、DVDやCDのためのスーパーマルチドライブなどという機能はいりません。CDの辞書をPCに覚えこませることさえできれば充分です。その分、移動中の使用などを考えると、薄さが大切です。また、ブースの中で使用することを考えると、想像以上に奥行きが重要なポイントです。そもそも非常に狭いブースの中に置かれたテーブルには、同通用の機械やマイクがあります。それに自分で持ち込んだ資料の数々。同僚と交換したチョコレートが散乱することもあります。そんな時に持ち込むパソコンですから、できるだけ奥行きが短いものが好まれます。隣に座るパートナーに迷惑を掛けることもできませんし、目の前にパソコンが置かれて、大切な資料が見えなければどうしようもありません。しかし奥行きが少ないということは、スクリーンの縦の長さが短いということにもなります。ある程度の情報をスクリーンに示すことができながら、奥行きは短く、というのはなかなか難しい選択でした。
これらの要素に追加して、私はこの夏からアメリカに戻ってしまいますので、国際モデムが搭載されていることも重要でした。基本的には一般の内蔵モデムでも海外でワイヤレス接続が可能ですが、本来は国際モデムの使用が求められています。国際モデムを搭載しているのは東芝、IBM、富士通などに限られ、これらのメーカーの製品でも全てに搭載されているわけではありません。
これらの点を考慮して、最終的にはIBMの製品に決めました。他のメーカーの製品に比べて、ビジネスユーザーを対象としていますから、見た目はそれほど優れていませんが、機能や大きさの点では、他社製品より優れた感がありました。まだ今の段階ではセットアップが全て終了していませんが、徐々に辞書を入れ込んだりして環境を整える予定です。辞書としてPCを使うのであれば、最近はたくさんの大型辞書を搭載したコンパクトな電子辞書がありますから、大きなPCの利点は小さいのが現状です。しかし辞書を使いながらも、パワーポイントを見て、準備してきた用語集を参照し、隣の人の同通をサポートしながらネット接続で調べ物をしてあげる、などというタスクにはモバイルPCの利点が大きくなります。実際のIBMデビューがいつになるか分かりませんが、来月には大きなシンポジウムでの仕事がありますので、そこではきっと力を発揮してくれるのではないか、と期待しています。