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相手の目を見るコミュニケーション

Hubbub from the Hub

通訳・翻訳者リレーブログ

数ヶ月前のブログに日本のサービスとアメリカのサービスを比較する投稿をしました。つまりアメリカでは店員さんの機嫌が悪いと、こちらの機嫌も悪くなってしまうことがあるが、非常にカジュアルな関係で色々なコミュニケーションをとることもできます。しかし日本ではよほどのことがない限り、店員さんからひどい扱いを受けることはありません。逆にマニュアル化された対応で、個人的なおしゃべりをレジの人とすることもありません。両国のサービスはこのように一長一短なのですが、最近非常に気になる日本のサービスがあります。

それはこちらの目を見ずに話す、ということ。先々週のブログでは、通訳をしながら聴衆のリアクションをきちんと捉えることの重要性を書きました。どんなに美しい訳出をしていても、逐次通訳で聴衆の目を見て話さなければ、相手にメッセージは伝わらない、という内容です。しかしコンビニエンスストアーを初め、スーパーのレジなどでの接客係の中には、こちらの目を見て話してくれない人が非常に多いのです。もちろん一概に言うことはできませんが、お店に入ると陳列棚から目を離さずに「いらっしゃいませ。」お惣菜のパックを見つめながら「お箸をご利用になりますか?」次のお客さんの商品を手に取りながら「ありがとうございました。」もちろん、たくさんのお客さんに対応しなければならない忙しさや、毎日何時間もレジで対応していると、流れ作業のようになってしまうのも理解できます。しかし、こちらが店員さんの顔を見ているのに、相手はこちらを見てくれません。色々話しかけてくれますし、「ありがとうございました」とも言ってくれるのですが、体から発せられるメッセージはその逆です。相手の目を見て話す、なんて当たり前のことなのですが……

そんなことを最近強く感じながら生活していました。しかし、ある日「仕事ではもちろんコミュニケーションを意識しているけど、自分の日常生活で、一体きちんと相手の目を見ているだろうか?」とやや疑問に感じるようにもなりました。もちろんレジのように、店員さんと向かい合っている場合は相手を見ています。しかし例えば居酒屋で何かを注文するとき、カウンターに座る自分の斜め後ろから注文を聞いている店員さんのほうに顔を向けているでしょうか? よく考えると、メニューを見つめながら注文して、店員さんの顔を見ていないことが頻繁にあることに気付きました。

コミュニケーションに関わる者として、やはりテクニックだけでなく、相手の顔を見ながら話す、などという基本を再度自分の日常生活でも振り返らないといけない、と思いを強くしました。

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Hubbub from the Hub

幼い頃から英語に触れ、大学在学中よりフリーランス会議通訳者として活躍、現在は米国大学院に籍を置き、研究生活と通訳の二束のわらじをはいている。

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