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学生通訳養成中!

Hubbub from the Hub

通訳・翻訳者リレーブログ

私が教える通訳講座がスタートして既に2ヶ月。週に1回だけの授業ですから、まだ授業数は10回弱ですが、多くの学生が成長を遂げています。大半の出席者にとって通訳トレーニングを受けるのは初めての経験でしたが、今では結構自信を持ってリピートをしたり、同時通訳をしたりしています。同時通訳の訓練では、最低でも1週間前に音声教材とスクリプトを渡しますので、充分な準備ができます。しかし逐次に関してはテープ教材の概要を渡すだけで、実際の音声やスクリプトはありませんので、そちらでかなり苦労をしているようです。

初めて通訳トレーニングを受けている学生にとって、最初の難関はメモ取り。小学校の頃に授業でノートを取っているのと同じで、大切で忘れそうなポイントを要領よく書き留めるだけでいいのですが、「通訳するためのメモだ」と意識すると、手に集中してしまい、聞くほうがおろそかになってしまいます。帰国子女で英語が非常に上手な学生が、非常に簡単な内容の英語を聞いて思わず「分かりませんでした」と言ってしまうこともあります。そんな時には、あえてメモを取らずにもう1度テープを聞かせると、「なんだ、そんな簡単なことだったんだ」と思うようです。これは日英のトレーニングで、母国語である日本語を「わかりませんでした」と言う学生がいることからもわかります。

また、メモが間に合わない、という症状も多いようです。スピーカーがそれほどの早口でなくても、途中で追いつけなくなったり、最後の文章をメモにする時間がなかったり。そんな時は先に後の情報から訳出してしまえばいいのですが、まだ通訳を勉強して2ヶ月の学生には難しいテクニックです。しかし、少しずつそのようなコツを身に着けている学生もいます。また私も昔の記憶がありますが、メモ取りをしていると、省エネのためになるべく頭文字などの省略をしようとしますが、「あまり略しすぎると、訳出のタイミングで思い出せないのでは」と不安になり、結局書きすぎてしまったりします。これも多々見受けられる症状ですが、少しずつ改善しているようです。

メモが取れるようになった学生が次に戸惑うのは、正しい用語や表現の選択。Welcome to Japanが「わーい、来てくれてありがとー!」なのか、「今回のご来日、心より歓迎いたします」なのか。もしかすると、もっと丁寧に訳すべきかも知れません。日ごろの生活でそれほど格式高い日本語を喋ることは少ないので、どうしても口調がカジュアルすぎてしまうこともあります。こちらは数をこなし、きれいな日本語をしゃべる意識を持つことで解決していくものでしょう。

また、話の流れをつかみ落としてしまうことがあります。極端な例でいえば「イチゴは黄色い」と自信を持っていってしまうような局面。ちょっとした聞き間違えも、話の流れを追ったり、自分の知識を総動員することで、自然と誤訳を防ぐことができます。スピーカーが「しかし」と言えば、その前の話の逆説になりますから、notを聞き落としても、何とか正しい訳をすることができます。これは心に余裕を持たないと辛いのかもしれません。

これらの改善テーマが出てきていますが、全体的のパフォーマンスレベルは上がっています。数ヶ月前まで同時通訳を聞いたこともなかった学生が、今では堂々と同時通訳しています。約60人の受講生の中から、何人のプロが誕生するのでしょう。そして何人の学生が、この講座で学ぶコミュニケーションを応用してくれるのでしょうか? 7月中旬の学期末までには、きっと一層の成長があるでしょう。楽しみです。

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Hubbub from the Hub

幼い頃から英語に触れ、大学在学中よりフリーランス会議通訳者として活躍、現在は米国大学院に籍を置き、研究生活と通訳の二束のわらじをはいている。

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