ヒラリースワンクさんの話
ミリオンダラーベイビーの映画の中で、プロボクサーを目指すマギー役を演じたヒラリースワンクさんは、この役作りのため、撮影の3ヶ月前からプロボクシングのトレーナーの指導を受けたそうです。毎日数時間、週6日間の厳しいトレーニングの他、ボクサーにふさわしい体を作るた為、痩せていた彼女はウェイトトレーニングも受け、夜中に起きてまで、一日に必要なプロティンを摂取したそうです。その週のトレーニング時間が20時間くらいになると、本当に限界を感じるそうですが、そんなつらい時にトレーニングを続けると、必ずなにか目の前の壁を打ち破ることができたそうです。結局努力の結果、スタントなしで試合を含め、全ての撮影に彼女自身で挑みました。プロの女性ボクサー、ルシア・レイカー(青い熊役で出演)と打合せした動きを間違えて、思い切り殴られることも何回かあったそうです。でもそれは彼女にとってボクサー役を演じるためには大変役にたったとも言っていました。
彼女は“ボーイズドントクライ”に続いて、この役でアカデミー賞、主演女優賞を受賞しますが、役者として、人を演じるためには、通常の生活から離れてしまってはいけないと、今でも地下鉄で仕事に通っているそうです。何故ここでインタビューの話を持ち出したかというと、何事も初心を忘れず、常に努力を惜しまない彼女の姿勢に大変心を打たれたからです。物事が順調に行くとついつい有頂天になったり、高慢になったりしがちなものですが、いつも努力を惜しまず、謙虚でいること、初心を忘れずにいることが大切だと思います。それは全ての職業にいえることで、通訳の仕事にも基本だと思っています。
この映画の撮影から一年も経った今では、“あんなに苦労して作った体なのに、いとも簡単に筋肉がなくなってしまった”と言っていましたが、彼女は本当にすがすがしく、又内面的なエネルギーを感じる魅力的な女性でした。