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”異端児”の挑戦

通訳・翻訳者リレーブログ

9月4日に開催されたF1世界選手権第15戦イタリアGPの決勝で、ファン・パブロ・モントーヤ選手が見事に今期2勝目、通算では6勝目を挙げました。
2年ほど前、某高級時計ブランドのイベントで、ブランドのアンバサダーになっていたモントーヤ選手の仕事をしました。
F1の選手であれば、一つ間違えば死と直面する可能性も常にかかえているわけですから、どちらかというとちょっと繊細で神経質なイメージを持っていそうですが、“異端児”と呼ばれている彼は全く違った印象でした。あまりに気楽で茶目っ気たっぷりで一見レーサーっぽくないのですが、そばにいると驚く程の冷静さを感じさせる不思議な雰囲気を持った人でした。
トークショーの後、スポンサーが用意したゲームをすることになりました。記憶が確かではないのですが、市場に出ていない開発されたばかりのグランドツースモを車内の画面に取り付けたものだったと思います。つまりジョイスティックやコントローラーでの操作ではなく、実車と同様にアクセルとブレーキ、ハンドルを操作してレーストラックを走行するように設定されたものです。会場にはこのゲームを開発したデザイナーの方が来てモントーヤ氏の操作ぶり(というより運転のテクニック?)を見ていたのですが、とにかく終始驚きの連発。“ありえない!”の繰り返し。
でも待ってください。いくらゲームとは言え、この設定はまさに車を運転しているのとほぼ同じなのですから、世界のトップレベルのF1のレーサーが操作したら上手で当たり前ではないかと、横で見ていた私は思ってしまいました。
パーティーの最中に、彼の本心はどうなのかと聞いた取材人がいました。つまりレースには恐怖も伴うだろうから本当はどんな気持ちでレースに臨んでいるのかといった質問だったと思います。迷いもなく彼の答えは、“自分は心の底からレースが大好き。本当に楽しいから挑戦を続ける。もしレースが楽しくなくなれば、僕はもうレースには出場しないよ。”
自分が本当に楽しめることを仕事にすることはとても難しいし、たとえ好きなことを仕事に出来たとしても、それで生活していくことはもっと難しいと思うことが多い中で、大好きなレースに挑み続け、良い成績を残し又それを楽しんでいる彼は本当に幸せだと感じました。
あれから2年が経ちましたが、今回の優勝の記事を大変嬉しく読みました。これからも楽しんで型破りな挑戦を続けて欲しいと思いました。

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記事を書いた人

大学在学中に通訳デビュー。外資系企業勤務を経て、フリーランス通訳者に。会議はもちろん、音楽、舞台、映画などの分野でもひっぱりだこ。クライアントからの指名率も高い。

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