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J L ミュージアム

通訳・翻訳者リレーブログ

2000年の6月、クライアントの依頼で、私は某倉庫に出向きました。アメリカからのお客様が開梱作業に立ち会い、日本側のキューレーターたちと共にコンディションレポートを作成するためでした。運搬されてきた百数十点にも渡る品物は元ビートルズ故ジョン・レノン氏の遺品でした。数々のギターやコスチューム類は勿論の事、故人の身の回りの品など、驚く程多くの品々が運ばれてきていました。衣類や楽器はもちろんですが、紙類、歌詞や特にDaily Howlという冊子等は大変古いものであるため、ページの端が切れていたり紙も薄くなっているため、細心の注意を払いながら何日にも渡って状況を確認する作業となりました。それから数ヶ月後に埼玉副都心にオープンしたのがジョン・レノンミュージアムです。軽井沢でもなく、東京でもなくニューヨークでもなく、ジョンとヨーコさんのお二人に縁のある場所ではないところにミュージアムを建設するというアイディアの提案があった時、一端は却下されたものの、“全く縁もゆかりもないところにミュージアムが出来ること。それが、かえってそれがジョンらしいかも知れない”とのヨーコさんのお言葉があって進められたプロジェクトだと聞いています。
今年の10月9日でもう5周年を迎えようとしている事に気づいてちょっと驚き。何度となく、ヨーコさんの仕事関連の方やご本人とも足を運んでいますが、行く度に色々と考えさせられる場所です。二度とあのような事件があってはならないという切なる思いを伝えたいというヨーコさんの気持ちも強く表現されていると思います。1977年から3年間レノン一家が夏を過ごされた軽井沢の万平ホテル運営のカフェでは、万平ホテルからシェフが通ってまで味にこだわった大変美味しい品々を楽しむこともできます。
訪問者の意見をなるべく取り入れながら、出発時点から色々な工夫を重ね、特別展示品なども期間限定で品を変えて展示されています。スタート時点から比べると色々な改善もされました。
5年という年月の過ぎる速さを感じながら、又次ぎに訪れる機会を楽しみにしています。

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記事を書いた人

大学在学中に通訳デビュー。外資系企業勤務を経て、フリーランス通訳者に。会議はもちろん、音楽、舞台、映画などの分野でもひっぱりだこ。クライアントからの指名率も高い。

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