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表敬訪問

通訳・翻訳者リレーブログ

ハワイ市長のムフィ・ハネマン氏が就任以来初来日されました。偶然、市議会に知人がいたため、都知事への表敬訪問に同行することになりました。
ところが、仕事を受けて直後、突然ある出来事を思い出してしまいました。
昨年の国際アニメ授賞式でのことです。私達通訳は会場の上の方にあるブースの中から同時で授賞式の進行、受賞者のコメントなどを訳していました。比較的順調に事は進行していたのですが、最初から資料もなく、全く予期できなかった知事からのスピーチになった時のこと。その時の受賞者には韓国やアジアのかたがたが多く、知事はそれは大変良いことだというような内容を発言されていたのですが、突然“大体私はあのミッキーマウスなんていうグロテスクなねずみは大嫌いなんだ!”と発言されたのです。そのミッキーさんの会社も勿論受賞者の一人でしたので会場にはいらっしゃるはず。“グロテスクなねずみ”という言葉はそれ以外のものに置き換えるわけにもいかず、訳しながらドキドキしてしまいました。後で、会場にいらしたその企業の方は日本語で直接きいたのか、それとも外国のかたで私の訳を聞いたのかを思わず考えてしまいました。その件を思い出した為、ちょっと恐怖心があったわけです。しかも今回は逐次なので、私は全員のさらし者状態ですし、ハワイ市議会の方たちも都庁関係者の方にもバイリンガルな方はいらっしゃるので、すぐにわかってしまいます。
という訳で、かなり緊張して望んだ当日。まずハワイの市長さんの大きさにびっくり。本人いわく、背は曙関とほとんど同じ。話してみたら、とっても優しいかたで安心。歓談開始。“今度の企画は“Wow Hawaii”ということで新しいホノルルをご紹介したいと思っています”“昔のハワイは良かったのに、新しいホノルルなんて興味ないよ。昔のハワイは本当に良かった”“日本の皆様にはハワイに毎年大勢来ていただいて大変嬉しく思っています”“ハワイなんて行かないで沖縄行けっていうよ。”このくらいの程度ならそれ以外の会話の内容のおかげで場の雰囲気がとても和やかだったので、まずまず問題なく、歓談は無事終了。
英国大使館からの仕事ばかりをしていた頃はこの表敬訪問のたぐいの仕事は沢山してきましたが、ここ何年もこの手の仕事はしたことがなかったのですが、以外に緊張するということが新たに実感できました。

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記事を書いた人

大学在学中に通訳デビュー。外資系企業勤務を経て、フリーランス通訳者に。会議はもちろん、音楽、舞台、映画などの分野でもひっぱりだこ。クライアントからの指名率も高い。

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