レーザープロジェクト
アフガニスタンの首都カブールから北西240キロに位置する渓谷、バーミアンには東西全長1500メートルの崖に700以上もの石窟が掘り込まれ、何百もの仏像がありました。紀元前4から5世紀に造られた仏教遺跡群として世界的に知らていましたが、2001年のテロにより無惨に大半が破壊されてしまい、その後2003年にユネスコの世界遺産に登録されました。
今回作家のヒロ・ヤマガタ氏が大仏像跡から約1キロのところにレーザーシステムを設置し、仏像を多色のレーザー光線でバーミアンの崖に何層にも映し出すというプロジェクトを立ち上げ、その記者会見がありました。レーザー機器は環境を考慮した風力と太陽熱を使った最近の発電設備によって供給されます。この電力により、仏像の投射だけでなく、電気のなかったバーミアンの人々の生活に初めて電気をもたらすことになります。
このプロジェクトは2007年6月から約2年の期間が予定されています。
素晴らしい自然を持つこの渓谷に多色のレーザーが映し出されたイメージを頭で想像するだけで、背筋がぞくぞくするほど興奮してしまいました。バーミアンは電気はありませんが、夜は星が手でつかめると感じるほど夜空が美いそうです。
バーミアンからは副知事も来日し、市民がどれほどこのプロジェクトに期待しているか、どれほど電気の供給を楽しみにしているかを語ってくださいました。
記者会見では、アフガニスタンの危険なイメージから、安全に関する質問が多く出たのですが、ヤマガタ氏、アフガニスタン大使館の方々口をそろえてバーミアンの安全を語っておられました。
“破壊されてしまった仏像を新たに作るという考えには賛成できない。人の手で歴史的、文化的に重要な遺産が破壊されたことを世に伝えなくてはならない。”と文化大臣が語っておられましたが、全く違った方法で仏像のイメージを再現するというのは、素晴らしいことだと思います。
まだプロジェクトは開始したばかりですが、2007年に向けて、機器の運搬、設置などもろもろの作業がスムースに進み、素晴らしい映像がみられるようになる事を心から楽しみにしています。