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通訳歴最大ピンチは?

背番号8

通訳・翻訳者リレーブログ

通訳という職業柄「じゃあよく外国に行ったりするの?」と聞かれることも多いのですが、最近はどの企業も経費削減の波のあおりを受けて現地通訳を使うことが増えてきたものの、以前は私もアテンド通訳等で出張に同行させて頂くことも多々ありました。

もちろん通訳をしているとさまざまな失敗・アクシデントに見舞われます。内心「とほほ…」でも多少のトラブルでは顔にも出さないくらいの度胸はそのうち付いてきます。通訳機器が壊れていても資料が無くてもどんと来いです(←言い過ぎ)。しかしながら(良くも悪くも)忘れられないアクシデントというのはいくつかあるものです。特に海外だと更に大変度は増します。

数年前クライアントに同行して取引先のヨーロッパ工場見学に行った際、ベルギーのブリュッセルのカフェでクライアントが鞄を椅子にぽんと置いたその一瞬の隙に置き引きにあってしまいました。中には多額の現金、カード、航空券、パスポートなど貴重品一式が入っていたと聞きさーっと目の前から血の気の引く音が。ととととにかく一刻も早く処理をしないと!とカードの停止手続きのため日本に連絡、地元警察に盗難届の提出(英語OKで良かった…これがイタリアだったら)、航空会社に航空券再発行の手続き、日本大使館にパスポート再発行手続きと書いてしまうと2行ほどですが休日のことでもあり、しかもベルギーからドイツへの移動予定日だったため2国間をまたいで文字通り駆けずり回ってあちこちで泣き落とし状態で何とか処理を済ませ、クライアントも私もぐったりして最終帰国日を迎えました。空港で私はロンドン行き、クライアントは関西空港行きのフライトのチェックインをしてボーディングパスを渡して「本当に大変でしたがお気を付けてお帰り下さい」とお別れをしてほっと一息ついた己の手の中をふと見ると関西空港行きのボーディングパスが。→「…!!!(声にならない叫び)」。蒼白状態で空港の職員に頼んで速攻呼び出しをかけてもらうものの英語のアナウンスがよくおわかりにならない可能性もあるので”自分で探した方が早い!”と広大なターミナル間を疾走。やっとのことでクライアントを見つけて平謝り。あれだけ大変な目に遭ったクライアントに最後のとどめで全然違う国に送り込んでしまうところでした。

大抵のトラブルは後になると笑い話にできるものの、今でもこればかりはうなされます…。

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背番号8

イギリスに長期留学後、インハウス通訳者として数社に勤務。現在は、フリーランス通翻訳者として活躍中。若手通訳有望株の一人!

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