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出版社行脚してみました。

背番号8

通訳・翻訳者リレーブログ

先週から某イタリアブランドのお仕事をさせて頂いており、今週は広告担当の方と日本の出版社巡りをしております。やはり日本はヨーロッパのブランドにとって重要なマーケット故、各社に「是非ここはひとつうちの広告を良いページに載せて下さいね」とプレッシャーをかけ…もといご挨拶に伺うわけです。

最初に訪問した某出版社、ここはモード雑誌と言えばこれ!と言うくらいの超有名誌を出している会社。インテリアも照明も受付からしてクールな印象。スタイリッシュなお部屋に通して頂いてまずご挨拶した担当の男性を見て「?」マークが頭の上に出てしまいそうなのを無理矢理押し込める私。ジーンズ+ジャケット+シャツというコーディネートなのですが、シャツの第3ボタンまで開けてあるというか…いや、もはや最後の1つがかろうじて閉めてある状態かと。次に別の男性がにこやかに登場。やはりシャツは第3…いや第4ボタンまで開けてあるか?そしてまた別の男性が入室。もちろんシャツはほぼ全開。異様に血中ラテン度が高くなっている一室。サーモグラフィーで見たら真っ赤っ赤状態間違い無し。とはいえ決していやらしい感じではなく皆さんダンディで素敵なんですが。しかし胸毛どころかお腹まで見えている男性がテーブルの向こうに3名並んでいる前で大真面目に通訳をしなくてはいけない状況をご想像下さい。

次はうって変わって「鳴り響く電話、壁のあちこちに貼ったポスター、本やら資料が山積みになった机、忙しそうに走り回るスタッフ、通路に溢れる紐で括られた平積みの雑誌の束」とドラマに出てきそうな嬉しくなるくらいのこれぞ”ザ・出版社”。その一角でお話を伺ったのですがどうもご担当の方は私の手元が気になって仕方がない様子。遂次通訳のメモの取り方は人それぞれだと思いますが、私はキーワードを日英どちらでも書きやすい方で単語を殴り書きしていくものの数日経つと自分ではまず読解不可能になるようなシロモノ。ご自分の話がどの様に暗号化(?)されて行くのかじっとご興味をお持ちになるのもわかりますが、注視されればされるほど微妙に手元に動揺が…。

次の某大手出版社で通されたのが迎賓館を思わせる格調高いお部屋。思わず感嘆の声を上げる一行。びびる通訳。金屏風の向こうにはどっしりとした家具にふかふかの絨毯、厚手のゴブラン織りのカーテンとテーブルクロスがかかった重厚な丸テーブル。奥には設立者と2代目の立派な胸像が。頭の中に「大正ロマン」とか「執事のセバスチャン」とか「日米和平会議」とかわけのわからん単語が飛び交う私。←完全にテンパっている。「うちは1909年に設立された会社なんですよ」「まああ!奇遇ですね!うちは1913年です」。それは奇遇か?奇遇なのか?「日本の女性誌の市場は飽和状態なので、うちでもシェアを伸ばすためにここ数年さまざまな調査を行っています」「まあ」「そして重大な発見をしたのです!」(身を乗り出すイタリア人)「女性は書店で立ち読みしている際に脇に挟んだ雑誌を買われるということです!」。…えーと、まあ、言われてみれば。

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記事を書いた人

背番号8

イギリスに長期留学後、インハウス通訳者として数社に勤務。現在は、フリーランス通翻訳者として活躍中。若手通訳有望株の一人!

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