通訳者のつまみ食い
今週は久し振りにNYで日英通訳のお仕事がありました。
やっぱりこのお仕事をしている時の瞬間って私は大好きだな〜と改めて実感しています。別に出来が言うことなしの満点だったというわけではありませんよ(←私においては、毎回反省点があるので完璧だったと思えることは皆無です)。準備段階から緊張の本番にかけて、「リラックス」と「集中」を上手くコントロールしていく過程が好きなのかもしれないです。
そして初めて「心付け」なるものを頂いてしまいました。やはりチップ社会のアメリカですね!断る理由も敢えて探さず、有難く頂戴しました。
さて、その通訳ですが久しぶりだったこともあり、「通訳者としてやってはいけない」ことをしでかしちゃって、今、反省中です。
それは「通訳のつまみぐい」。
別に通訳者がブース内や会議室でチョコなどを仕事の合間に食べまくり、ぶくぶくと太っちゃうから駄目なのよ…という類でなく(←つまみ食いどころか本気食いですもの)、全く違うことです。
この点を知るきっかけを残念ながら忘れてしまったのですが、おそらく通訳学校の先生から、もしくは大御所の通訳者が書いた本からだったと思います。
通訳者は、両言語がどちらも理解できるという意味で、それぞれの発言を最初に知り得る立場にあります。発言を訳していくのが使命ですから、発言そのものを通訳する前に通訳者が反応してはいけないんです(←ただ人間の出来ていない私などは、心の中では「そんなことはないやろ!?」と突っ込みを入れてます)。その反応を「通訳のつまみぐい」と呼んでいるみたい。
分かりやすい例では、ジョークを含め、発言の中にプッと笑ってしまうような内容があったとしても、通訳者はその時点では笑わず、粛々と訳し、その後、時間と状況が許せば、笑ってもよいとか。反対にダメな例として、一同が会する際の通訳で、一方の発言を通訳をする前に「あ、そうか、なるほどね」と漏らして逐次通訳するなど。実際、後者は目の当たりにしたこともあります。
通訳のアウトプットを待っている側としては、確かにつまみ食いされた気分になるかもしれないですね。このつまみぐい自体は大きな障害とはならないにしても、やはりプロフェッショナルとしては黒子に徹するという意味でも心に留めておきたいもの…自省の気持ちも込めまして。