同窓会での講演
先週日曜日は大学同窓会(NY支部)がありました。昨年9月の引っ越し以来、2回目の同窓会参加です。だのに、その会で「会議通訳者とは?」というちょっとした講演依頼を受けてしまいました。
我が大学は日本における英語教育では知られた存在だと思いますし、またNY支部ということもあり、英語に対する意識が高い先輩方がとても多いのです。
メンバーの中では通訳者はいないものの文芸翻訳家、プロの翻訳者、英語教師、日本語教師など英語でお仕事をされていらっしゃる方、国際結婚をされている方に加え、私と同じく、夫の海外赴任でNY駐在されている方々がメインです。平均年齢は恐らく50代後半。ですので、卒業年次で作成されるリストでは私は圧倒的に若者組とのことです…。
45年以上NY在住の最年長(84歳)の方などは、終戦後まもなく復学し、大学院も卒業。そのときの同級生は英語が出来るから東京裁判でちょっとした通訳をしたのよ…など、こちらがビックリするようなお話をしてくださるんです。
当日まで「あの先輩方を前に何かを語るなんて私には荷が重過ぎる・・・断ればよかった〜」と後悔しつつ、少なくとも場がしらけないよう、そしてブーイングが出ないような構成(要は話せる範囲での失敗談や愚痴)を中心に1時間程度、お話させていただきました。
一般の方々が抱きがちな通訳者にまつわる幻想、誤解やミス・パーセプションなども事例を挙げて説明しました。おかげさまで質問も数多くしていただき、なんとか笑顔で講演を終えることができました。
通訳作業に携わったことがない翻訳者や翻訳家の大先輩方が、極めて厳しい時間的制約がある中で訳出をしなくてはならない通訳者とご自分たちの作業プロセスと大きく違うことに驚愕されていましたが、私など新参の通訳者から見ると、翻訳者、ましてや文芸翻訳家の仕事など適訳が紡ぎだされるまでの過程は想像できないほど!今度、ちょっとした読書会にご一緒することになったので、そのときに彼女達のお仕事の様子など色々と伺ってみようと思います。
今回の講演で、特にウケが良かったのは、ハイキャリアのヒストリー・コンテンツにある「マリコがいく」の中で、寺田さんが作成された「通訳取扱説明書」を引用したとき。参加者の中には「明日、アメリカ人の上司や同僚にこのプリントを配布します!」と宣言された方もいらっしゃいました。
全部で13項目からなるこのトリセツ。きっと通訳者として仕事をした経験があるなら、何回かは大きく頷かれるに違いありません。お奨めですので、時間があるときなど、皆さんも読まれてはいかがでしょうか。