BLOG&NEWS

New York Public Library

昼顔

通訳・翻訳者リレーブログ

訪問するついでがあったNew York Public Library (NYPL)を今回はご紹介します。マンハッタン5番街の中でもランドマーク的存在であるこの図書館は、映画にもよく登場しています。思いつくだけでも「ゴーストバスターズ」、「スパイダーマン」、「デイ・アフター・トゥモーロー」や「SATC」などなど。

外からの眺めはこのような感じ。現在は外壁の清掃と改装中とのことで、いつもの凛々しい姿は拝めません。

写真では見えづらいですが、表玄関の両脇にまるで守り神のようにライオンの像があります。今日もじっくりと観察しましたが、狛犬のように口を「あ」と「うん」にしているわけでもなく、見た感じはほぼ同じ銅像。しかし個性を大切にする米国ゆえに、それぞれ「patience」(忍耐)、そして「fortitude」(不屈の精神)との愛称で呼ばれています。これらは1930年代の大恐慌を乗り越えたニューヨーク市民たちに一番必要だった心構えであり、あえてそのときの言葉をニックネームにつけたという次第です。そのとき以来の、いやそれ以上の大不況といわれる昨今。最悪の状態からは抜け出し、底入れした感もなくはないですが、この二つの言葉が今より市民の胸に響くことはないのかもしれないです。

図書館と名がついているものの、この中央図書館では現在、貸し出しをしていません。州内に全部で84ある分館でフォームに直接書き込むか、或いはネットで予約後、近所の分館で貸し出すプロセスです。

書籍や雑誌の貸し出しだけでなく、PC教室や英語を母国語としない人たちへの英語教室など無料で市民に提供し、NYならではのジャズの大御所やアーティストを招いてのコンサートや作家を囲んでの読書会等を開くなど市民にとっても憩いの場所。私にとって9月にNYに来て一番足繁く通っている場所と自信を持って言えるほどです。

中央図書館の顕著さは歴史的にも価値のある蔵書類を極めて多く有していること。ディケンズの初稿やカポーティの草稿、グーテンベルグ聖書などがその代表でしょうか。また19世紀後半から1920年代の移民台帳といった記録なども移民王国アメリカらしい収蔵物です。

その中でも個人的に気に入っているのは、トーマス・ジェファーソンが議会前で読み上げた際の独立宣言の草稿。当時の議会は国のあり方についてまだ一枚岩ではなかったよう。もともとスピーチが苦手だった彼は、議員からの野次や非難が飛ぶたびに怒りを込めてその言葉に下線を引いたとのこと。どの言葉で紛糾したのか想像しながら読むと結構面白かったですよ。今度の展示は独立記念日のある7月に1ヶ月間だけ特別に見られるようなので、別の機会にまた報告することにします。

最後は図書館らしい閲覧室をご覧ください。Wifiがあるお陰で、利用者は各自インターネットも持ちこむことも可能です!

Written by

記事を書いた人

昼顔

外資系金融、在ジュネーブ日本政府代表部での勤務を経て、外務省職員として採用。帰国後は民間企業にてインハウス通訳者としてキャリアを積み、現在は日英仏フリーランス通訳者として活躍中。昨年秋からはNYに拠点を移す。趣味は数年前から再び始めたバレエと映画鑑賞と美味しいモノの食べ歩き。

END