快適さなど必要ない!?
また趣味関連の記事になってしまいますが、先日、バレエのヴァリエーションを大人になって初めて人前で披露いたしました。子供の時からこんなにレッスンしたことがないほど毎日スタジオに通い詰め、指摘を受けた部分はノートに書き込み、寝ても覚めても踊りのことばかり考える日々が続きました。頭ではわかっているつもりでも、実際に動くと上手くきない葛藤の毎日でした。
そうは言っても、内輪の発表会だし、通常のレッスン着で披露すればいいんだろうと高を括っていたところ、「マイ・チュチュ」を用意している参加者もいて内心ビビりったのは確か。私の踊りが「姫系」(プリンセスや妖精などの「姫系」と元気でキレのある「村娘=ぺザント系」にざっくりと大別)だったので、先生が「せめて雰囲気だけでも」と気を利かせて簡易チュチュを手渡してくださって…(汗)。こういう発表会では舞台に近い衣裳で踊るのが当たり前とのこと。本当は着たくなかったのですけどね、さすがにティアラは最後まで抵抗し、チュチュだけを着けて躍らせていただきました、はい。
通訳と同じで、本番まで心身ともに出来る限りの準備をしてしまうと、あとはもう腹をくくって舞台に臨むしかありません。「自分にできることは全てやった。あとは楽しもう!」とその気持ちの持っていき方って通訳の仕事でも舞台でも同じなんですね。おかげさまで途中でずっこけることもなく無事に踊りきりました。きっとNYでの忘れられない思い出の一つとなることでしょう。
さて、NYがダンスの本場であるのは周知の通りです。アメリカ国内にみならず、世界じゅうからバレエ留学、ダンス留学する人たちが通う幾つかの有名なスタジオにミーハー気分でレッスンを受けています。運が良いとウォームアップするABTのダンサーたちやブロードウェイで舞台に立つプロたちと一緒に踊れる機会があるから毎回色々なレッスンに参加するのが楽しみなんです。
そして先週、久しぶりに有名な某ダンス・スタジオでバレエ・レッスンを受けたときのこと。通訳にもつながると思う良いアドバイスを頂いたのでここで披露しますね。
このスタジオの特長として、バーでもセンターでも、先生が単に踊りだけを指導するのではなく、精神的に「ダンスのプロフェッショナルであること」を指導してくださるんです。私みたいな趣味程度の人間であっても、スタジオに入ったからには皆ダンサーという扱いです。その分、厳しいです。
「バーでもセンターでも与えられた振付を安穏とした気持ちでただ踊ればいいというわけではない。どう踊るかというよりかはどう舞台から自分の踊りや姿が映るのかを常に考えなさい。ダンサーには快適さは必要ない。勝手に限界をつくって更なる高みに挑戦しないのは、挑んで失敗することよりも性質が悪い。ちょっと苦しいとかやりづらいと思う動きの中に上達のヒントが隠されているもの。レッスンやリハーサルはその苦しさに体が対応できるよう慣らすためのものでしかない。」
名言でしょ!他の生徒さん同様、頷きながら心の中で「本当にそうだわ。スタジオでそれが発揮できるかは微妙だけど、通訳の仕事を通じて常にこういう気持ちで臨むことが大切」と納得。
さて、今週土曜日は特別にABTソリストJared Matthewsが指導するクラスがあります。プロのダンサーの動きの美しさをこの目で見てきます!あ、そしてついでに踊ってきます。