国連総会にまつわるあれこれ
今週、マンハッタンのミッドタウン界隈は国連総会の影響で大ごとになっています。毎年恒例なのでもう慣れたというか諦めてしまっていますが、それでも喧騒が嫌いな住人はこの期間だけ別の場所に行き、個人店舗も一時的に休業するほどの凄さ。交通も大幅に遮断され、時には単なる通行でさえも10分、15分程度は文字通り立ち往生する有様です。1日中警護のためのサイレンが鳴り響き、苛立つドライバーたちのクラクションや警備ヘリコプターの音が騒がしいといったらありゃしない状態です。
それに国連前の広場や公園なども少しでも場所があると、なにかしらの抗議団体が活動を展開しているし、今の時期、静けさを求めること自体が間違っているのでしょう。因みに写真は国連本部前の公園での抗議団体の様子。
国連といえば、つい最近、ケーブルTV放送があることを知りました。周辺に聞いても誰一人その存在を知らない都市伝説的な存在?!我が家が契約しているタイム・ワーナーでは150チャンネルがUNTV。通常は発展途上国でのフィールド活動をドキュメンタリー番組として流しており、そのあまりの地味さ故、今まで全く気がつきませんでした。しかし国連総会中は会議の様子を臨場感たっぷりの生放送で見られます。自宅に居ながら各国首脳のスピーチが聞け、ちょっとしたハプニングも編集なしの実態(!)を見ることができます。
今回の見どころの一つはやはりオバマ大統領の国連総会初のスピーチでしょう。もともとスピーチの達人との定評がありますが、原稿を読むためうつむき加減で一度も会場を見渡すことがない他国首脳たちのそれと比べたら、さすが抜群の巧さだと思いました。
昨日は忙しい日程の中、国連総会に参加する総理大臣の通訳をされる先輩方とランチをしました。新政権での注目の総理だし、さぞかし忙しいと思いきや、そうでもないとのこと。
なぜかというと…以前、月曜日担当の「いぬ」さんが確か言及されていたと思いますが、総理大臣や外務大臣の場合、2カ国間(バイ)での会談では通訳訓練を受けた外務省員が通訳を担当します(この場合、逐次通訳が圧倒的に多い)。一方、マルチともいわれる国際会議では本職の会議通訳者が登場するという具合です(この場合は同通となることが多い)。
この機会にNYに参集している各国首脳との会談が通常よりも多いので、同通が必要な総会自体には総理はほとんど参加できないようです。また今回は総理が自ら英語でスピーチされていましたしね。例年よりも労力は少ないとのことでした。
負担が少ないとは言え、今日はピッツバーグに移動してG20の通訳に入られるとのこと。G20は世界的な懸念事項である経済案件が議題で、実質的な議論が展開されるはずだから、通訳者としても全く気が抜けない会議となるはず。時差をきちんと調整しながら、あの国際会議を平常心で長丁場の通訳をされるなんて私から見ると神業にしか思えません!
それから国連総会絡みでは、本日、意外な方をお見かけしました。先週の会議でご一緒した同僚と「反省会」と称してランチをしていたときのこと(本当の目的は単なるおしゃべりです)。店は美味しさで折り紙つきのためなかなか予約が取れない人気店のGramercy Tavern。食事中、ふと店外にかなり群衆がいることに気がつき、その同僚とも最初は有名人が店内にいるのか?その路上で撮影をしている?と気にも留めずおしゃべりをしていました。
すると店内の奥の方から拍手がわき、振り返ると、なんとミッシェル・オバマ大統領夫人!!「えー、いたの〜!」と思いつつ、あまりに一瞬のことで、他の客同様、立ちあがって拍手で店を後にする彼女に拍手を送ることしかできなかったです。
まぁ、色々と騒がしい1週間ですが、色々と面白いものを見ることができた1週間だったとも言えます、はい。