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「こしょく」に耐える夫

昼顔

通訳・翻訳者リレーブログ

どこのご家庭でも同じだと思いますが、師走を迎えると年末へのラスト・スパートとの如く、バタバタと年末の関連行事が多くなり、家にいる時間はあまりない状態です。家にいてもクリスマス・カードを書いたり、大掃除をしたりとやっぱり寛げません。

今週前半も通訳の終日案件がずっとあり、その後もプライベートでの行事の打合せやパーティやその下準備、忘年会などにより自宅で過ごす時間が少なく、我が家のペットも遊んでもらえないからか、いささか不機嫌そう。

不機嫌といえば、以前、夫がふと漏らした一言。
「最近、おれ、完全に“こしょく”生活になっているよね?」と。

思わず「こ…こしょくの定義を言ってみて」と挑んでしまいました!

もともと我が家のケースだと、いわゆる6つのこしょくの中では、「孤食」(ひとりでの食事)と「個食」(家族が別々のものを食べる)程度しかあてはまらないはず。「小食」(少ししか食べない)については大食いなので全く該当していないし、「固食」(食べるものが固定して好きなものしか食べない)、「粉食」(主食を好む食事)や「濃食」(濃い味のものを重点的に食べる)は、事前に私がサラダやスープを準備しておくからあてはまらないでしょ。言うほどのものでもないじゃないか!?と論駁させていただきました、はい。

我が家の夫は勤め先が徒歩圏内なので、週日でも毎日お昼には自宅に戻ってくるんです。最初、この提案を聞いた時は「イタリアやスペインの子供じゃあるまいし、昼にわざわざ戻ってこなくていいよ」と言ったものの、外食が割高のマンハッタンにおいて1時間の昼休みにランチを食べるとなるとファースト・フードか仕出しの弁当に頼る生活になってしまう。家で食べたほうが栄養のバランスも良いし、味も良いから…と説得され、お昼休みはほぼ毎日(!)一緒にランチを食べていました。そうするためには、私は外出先からいつも昼前には帰宅しランチを作って待つというとても妻らしい生活を送らざるを得ない状況。仕事のときは大腕を振って外出できるのですが、昼も一緒の生活は結構毎日だときついものです。

機会があって、夫の勤め先の夫人たちとお話をした際、この話題に話が及ぶと、我が家の状況に皆さん、少なからず驚かれていました。思った通り、我が家は少数派なんだと認識しました。

少数派の1人である上司のご家庭は勤め先とご自宅が同じ建物内なのでもちろん昼は帰宅されるそうです。対外的な活動に積極的に参加するその奥様は「私は忙しいので自宅で一緒にランチを食べるのは週に1回にしますから」と事前に通告したとのこと。

そうしたら「女房、元気で留守でいい」と言われたそうです。とっさのこととはいえ、ここで「留守がいい」とつぶやかなかったことに「さすが〜」と感心しきりです。たった1文字ですけど、印象がずいぶん違いますもの。

夫もそのレベルまで早く悟りを開いてくれるといいのですが、いつになることやら。

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記事を書いた人

昼顔

外資系金融、在ジュネーブ日本政府代表部での勤務を経て、外務省職員として採用。帰国後は民間企業にてインハウス通訳者としてキャリアを積み、現在は日英仏フリーランス通訳者として活躍中。昨年秋からはNYに拠点を移す。趣味は数年前から再び始めたバレエと映画鑑賞と美味しいモノの食べ歩き。

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