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ジョディ・フォスター・テスト

仙人

通訳・翻訳者リレーブログ

先日、ジョディ・フォスターが来日していましたね。いろいろあったけれど、やっぱり「かっこいい」です。また昔の話で恐縮ですが、彼女が『羊たちの沈黙』で再度オスカーを獲り、まさに時の人、という感じだった頃、アメリカの女性の友人たちの間で「ジョディ・フォスター・テスト」というのが流行っていました。職場の男性に「ジョディ・フォスターってどう思う?」と聞いて、「すてきな女性だね」という答なら彼はchauvinistではなく、性別にかかわらずきちんと人として能力を判断してくれる人。ジョディに批判的で、特に彼女の性的嗜好みたいなことを口にする男性は、口で何を言おうが、性差別主義者。これが、実によくあたっていたのです(ただし、日本のオジさんたちは、ジョディ・フォスターをただの綺麗な金髪のねーちゃんとしか認識していないことが多いので、この限りではありません)。
これは、仕事のつきあいを占ったりしたのですが、その後プライベートな見方を知る、「メグ・ライアン・テスト」なるものもありました。これもまだメグ・ライアンが、ロマンチック・コメディで大人気、ラッセル・クロウにふらふらのぼせ上がる前、良き妻・母的イメージがあったという前提です。「メグ・ライアンのこと好き?」と聞くと、だいたいの男性が、ああ、いいね、と答え、それはきわめて普通でOK。しかし、「理想の女性は?」と聞いて、最初にメグ・ライアンと言い切る男性は、マザコンの暴君なのでした。メグ・ライアンがどうとういうことではなく、あくまで、当時彼女が出演していた映画で投影されるイメージですからね。
同僚の女性たちからとても嫌われていたスウェーデンの男性(これは珍しいケースで、いろいろな国の人が集まるグループで、スウェーデン人の男性が女性から取り立てて嫌われることは、すごく稀だと個人的な経験では思います)が、見事に理想の女性は「メグ・ライアン!」と答えました。スウェーデンみたいな女性の社会進出が進んでいる国なのに、彼の妻は専業主婦で、そのこと自体は本人がよければそれでいいのですが、この男の意思で妻を働かせていなくて、理由は「だって仕事から家に帰ったときに、灯りのついている温かな家に入っていきたい」という30年前の日本のオヤジみたいなばかげたことをぬけぬけと熱く語る、本物の愚か者でした。
今なら誰がこういう「かっこいい女性」「男性の妄想的理想の女」像なんでしょうね。私は今のコーヒーのCMに出ているメグ・ライアンが、昔より好きです。

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記事を書いた人

仙人

大学在学中に通訳者としての活動を開始。卒業後は、外資系消費財メーカーのマーケティング分野でキャリアアップ。その後、外資系企業のトップまでキャリアを極めた後、現在は、フリーランス翻訳者として活躍中。趣味は、「筋肉を大きくすることと読書」

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