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たまには、お仕事!

仙人

通訳・翻訳者リレーブログ

ずっと「ユルイ」話では申し訳ないので、たまには仕事をしているところも。(the apple of my eyeさん、Bradford pearとか、南部的にはちょっと桜に近くないですか?)
文芸もの、あるいはそれに近いものを翻訳するときに、もちろんいろいろ考え込むことはありますが、今回は動作、特に表情の訳し方について。よく出てきて、そのまま日本語にすると意味が不足してしまうので気をつけているのは、roll eyes, lift(またはraise) browsが代表で、他に swallow(one’s breath), frown, bite one’s lip, lift one’s chin up などなど。日本人は何かの意思を伝えようと目を回したり、眉を上げたりしないし(実際、眉を特に片方だけ上げることのできる日本人って少ないと思いませんか?)、さらに息をのむのは、はっとしたとき、眉間を寄せるのは不快なとき、唇を噛むのは悔しいとき、と意味の限定があり、意志の強さを表すために、体の部位として顎を用いることもありません。
roll (one’s) eyeの訳として、いちばん近いかな、と個人的に思っているのは、いったいもう何なのよ、で、私のイメージでは女子高生が友だちにしてみせるのは完全に正しいけれど、まあ、少なくともエリザベス女王の前で、「roll eyes」はする人は、いない、うーん、ダイアナ妃はしたことあるかも、という感じではないでしょうか。眉を上げることで言うと、昨年亡くなられたABCのニュースキャスター、ピーター・ジェニングさんは何のコメントも言わずに眉を数ミリ上げるだけで、そのニュースについての自分の考えを視聴者に伝えるという話を聞いたことがありますが、「けしからん」だったり、「ほほう」だったり、「やるじゃん」だったり、だったように思います。したがって、こういった表現をすべて文字通り訳してしまうと、込められた意味がきちんと伝えられていない気がします。
けれど、その後の文脈の関係や、情景を思い描くため、やっぱりそのまま訳すほうがいいな、という場合もあり、それで、いろいろ動作の表現が出てくると、自分でその動作をやってみて、鏡で見ながら、これは日本語だとどういう言い方になるのかなあ、と考えるようにしています。実際にやってみると、ぴたっとした表現を思いついたりすることが多いのです。
ところが、最近はサスペンスなどでもかなり過激なラブシーンもあり、そういうときの動作を表現するために……えっと、次回にします。

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記事を書いた人

仙人

大学在学中に通訳者としての活動を開始。卒業後は、外資系消費財メーカーのマーケティング分野でキャリアアップ。その後、外資系企業のトップまでキャリアを極めた後、現在は、フリーランス翻訳者として活躍中。趣味は、「筋肉を大きくすることと読書」

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