Bewitched
最近ケーブルテレビなどでアメリカのTV番組をたくさん見られるようになったのは、日本在住の翻訳者にとってとてもありがたいことです。翻訳の際、人気ドラマの○○のような、という形容詞がよくあるのですが、実際の番組を見ることで翻訳者も理解でき、また読者にも伝わりやすいこと、セリフなどが表現の参考になること、キャラの決めセリフが日本語でも確立していたりすること、などなど利点はいっぱいです。現代モノの文芸翻訳では、エミー賞にノミネートされるぐらいのドラマは結構「必須」と言う感じで見ていないと、とんでもない誤訳をしてしまうこともあります。
でも、純粋に楽しんでいることのほうが大きいのも事実。うーんとうんと昔の『じゃじゃ馬億万長者(The Beverly Hillbillies)』とか『ハワイアン・アイ』から、年を経て、『インターン』などの医師モノ、『スタスキー&ハッチ』みたいな刑事もの、それにレンタルビデオショップが町中にできるようになってからシリーズで妙に人気があった、『V』や『ツイン・ピークス』など、みーんなハマリました。いわゆるSITCOM(Situation Comedy—わざとらしい観客の笑い声とか入るホームドラマ)の最近のものでさえ結構好きで、NHKでやってた”Full-house”はあちらで見始めたせいもあってか、いまだに再放送してるとつい見てしまいます。
こういった嗜好は私が翻訳者になる素地の一部を作ってたのだと、強く思いながら、この日曜日、AXNでやっていた今年のエミー賞授賞式を見ていました。録画で結果はわかっていたのですが、いやわかっていたからこそ『24』マニアとしては見逃せなくて、キーファー・サザーランドを目当てにしてのことです(いや、そりゃもうかっこよかった)が、『チャーリーズ・エンジェル』や『ダイナスティ』を生み出した名プロデューサーが亡くなられたことのトリビュート部分に、私もしみじみした思いになりました。ファラ・フォーセット(いまだにあの髪!)たちオリジナルのエンジェルが出てきて、リーダー役だったケイト・ジャクソンのスピーチがとてもすてきでした。「世界中の人に、どんなことがあっても、60分だけは辛いことを忘れさせて元気を与えてくれて、そして私たちの人生を変えてくれた人だった」と。そして、こういうドラマを作った人が、ひょっとしたら地球の反対側に、翻訳者を作り出す助けをしてくれたのかもしれませんよね。