When Harry Meets Carrie…
J.K.ローリングが、ニューヨークの空港で、ハリー・ポッターの最終話のドラフトの機内持ち込みを断られてひと悶着があったという話を聞きました。この原稿をチェックインしてしまって、紛失したら、いや確実に盗難されるはず、弁償ってどうなるんでしょうね。きっと、天文学的な金額。アメリカ滞在時に書いた分はコピーもとってなかったということで、ひょっとしたら二種類の最終話ができていたかも。それはそれで興味深かったような。最終的には機内持ち込みできたらしいですけど。
ローリングは8月の初めに、スティーブン・キングとジョン・アービングと一緒に『ハリーとキャリーとガープの夕べ』と題したチャリティ読書会をラジオシティで行なって、その帰りのことらしいですが、このとき、アービングがハリー・ポッターを最終話で殺さないで、と訴え、キングも、ハリーはライヘンバッハの滝を見に行かなくてもいいだろうと言ったとか。この対談見たーい、すごく。どっかのケーブルチャンネルでやらないかなあ。日本なら筒井康隆がモリゾーとキッコロを森に返さないで、と言い出すみたいな、いや、恩田陸がドラエモンを未来に戻さないでと言う、違うな——まま、とにかく、ミステリー界の巨匠と、いわゆる純文学のカリスマが、本来子供向けの本のベストセラー作家に、真剣に内容のことを語るわけで……。
ハリー・ポッターは、ブームには、当初乗り遅れた感があって、最初の二作は邦訳が出てから、ふーん、おもしろいけど、しょせん子供用の本、と本屋での立ち読み(!)で済ませていたのですが、大好きなゲイリー・オールドマンがアズガバンの囚人を映画でやることになった後、英語で最初から読み出してすっかりハマってしまいました。あんな子供騙しの本、なんて思っている人がいたら、英語でもぜひ試してみてください。楽しいと同時に、英語圏の子供たちは大人のベストセラー本と変わらない装丁・体裁、語彙を持つ本を、じゅうぶん読みこなせる能力があるのに、日本の子の言語能力が落ちてきているのでは……と心配になる私の気持ちもおわかりいただけるのではと。
最終話、ハリーはどういう結末を迎えてもいいけど、シリウスがあのままでは……。