次の機会に。
ジェニファー・ハドソンだろうなと思いながらも、菊池凛子さんのオスカーを期待していたのですが、残念でした。でも、きりりと強い眼差しでインタビューを受ける彼女に好感を持ってしまいました。
前に、日本女性は英語でのスピーチ/インタビューで、緊張すると、うふふ、というgiggleをして、それががどうも非日本人には不評という話を書いたことがあります。今までの彼女はまさにそうで、日本語でのきっぱりした感じが、英語環境になると、媚びるような声のトーンになっていて、ゴルデングローブのときのスピーチでのgiggleがひどかったので、少し心配していたのです。
ところが、アカデミー賞の赤じゅうたんインタビューでは、giggleがほとんど見られなくなっていて、なんだかほっとしました。私たちの年代の通翻訳者にとっては、あこがれの先輩・おねえさん、という感じの奈良橋陽子さんがついておられたので、きちんとアドバイスされたのでしょうね。堂々としていて、とてもすてきでした。内容も、英語環境にもネガティブに聞こえず、日本語環境にもずうずうしく聞こえないように、上手な言い回しでした。
英語で話をする環境にいる場合には、言葉だけでなく、内容や構成(話の順序)、声のトーン、posture、立ち居振る舞いというものも、その場に合わせたものにする必要があると思います。もちろん逆も同じで、日本語で話をする環境では、日本の文化的マナーを考えるべきでしょう。通訳のときは、英語で話すときは英語マナーに、日本語で話すときは日本語マナーにしている(つもりな)のですが、基本は自分が仕事を依頼された側のマナーに軸足を置くように努力します。
とはいえ、緊張すると自分では気がつかずに、日本人的giggleをしてしまいがち。短期間で見事に修正された菊池さんは、女優さんなので、そういうモードにぴたっと合わせるのがお上手なのでしょうね。見習わないとなあ、と思ってしまいました。
菊池さんは受賞スピーチもちゃんと英語で用意されていたそうで、終わってから奈良橋さんが、いつか賞をとったときに、そのスピーチを使いなさいね、とおっしゃったとか。必ずそのスピーチを使える日がきますように。