新学期を前に
先日長らくかかっていた翻訳がひと段落、次の締め切りまで時間もあるので、軽い気持ちで、いいっすよぉと通訳を引き受けたのですが、その数日前に届いた資料を見ると非常に理科的な内容で、日本語のほうがまるで理解できないんです! しょうがない、やりますよ。いや、実に、本当にしょっちゅう、というか、常に経験することですから。先にきちんとした資料が届いただけでも感謝します。
まず英語で内容の理解をして、日本語の用語を頭にいれる。論理的に理解するには、母国語が日本語の私でも、英語のほうが楽だからです。資料は極秘だとかで、コピーや書き込みは不可だそうなので、日本語でもちんぷんかんぷんな語句、日本語ではなんとなくわかるけど対応する英語が理解できない語句あるいはその逆、単純に英語だけがすっと頭に浮かびづらい語句、に分けて単語帳を作り、abc順、あいうえお順それぞれにソートしておく。届いた資料の英語のものは日本語に、日本語のものは英語に詰まらずに訳せるようにする。
と準備をして臨んだ会議。さあ来い、と思っていたのに、いちばん困ったのはまたもや中国の地名と人名。理科的なことは、出席者が専門家であるため、彼らの理科的な論理で理解するのでさらっと進行するのですが、広い中国大陸のどの場所で誰が何を計画しているという話になるなんて、全然知らされていなかったので、しんどかったです。会議内容の産業の中心地はどこか、みたいなことを本当にささっと下調べをしておいたことが、結局いちばん役に立ったのでした。
最近中国が絡むビジネスがずいぶん増え、英語圏の人たちがアジア全体を「ひとつのマーケット」としてとらえることが多いように思います。政治的なことは抜きに、英語・日本語の通翻訳者としては、ハングルと同じように日本語も北京語発音での固有名詞表記にしてほしいとつくづく思うのですけれど、いやいや、ごくごく初歩的な中国語知識っていうのも通翻訳者の今後には必要なこととして、身につけておくべきなのかも。文芸もの翻訳でアメリカ西海岸が舞台だと、スペイン語の基礎知識があると楽なのと同じかもしれません。4月からNHKの中国語講座に挑戦しようかなあ。