日々自宅にて・・・
皆様、初めまして! パンの笛です。今日からリレーブログの火曜の欄を担当することになりました。フリーランスの翻訳者になって約三年半。まだまだ駆け出しの部類に入る私ですが、そんなヒヨっこなりの日々の徒然を皆様にも楽しんでいただけたら、と思います。どうぞよろしくお願いいたします!
さて、私は現在在宅の翻訳者としての日々を送っているわけですが、そうなったのもつい最近の話で、六月末まではとある会社の社内翻訳者を務めていました。生来とてもおしゃべり好きの私としては、女性ばかりの職場だったこの会社、とても快適でした。お仕事中はもちろん集中していますが、ランチ時やティータイムともなれば女性数名が集まっては楽しい話で盛り上がったものでした。あぁ、しかしそれも今は昔。在宅翻訳者ともなると、当然のことながら、職場、つまり自宅には自分ひとり。夫はサラリーマンで、昼間はもちろんいません。我が家には小学校一年生の息子がいますが、息子は当然、学校。もしくは学童保育。むしろ自宅にいてもらっては仕事になりません。周りを見回しても、だぁれもいません。そうなってから、私はすっかり頭の中で一人会話を繰り広げるようになってしまいました。ネタには事欠きません。翻訳の仕事をしていると、調べ物をするのが仕事の大半であったりします。そうすると、その調べた矢先からどんどん、どんどん、「芋づる式」に頭の中の会話が進んでしまうのです。先日はとある文芸作品のリーディング作業を行っていて、その主人公の家族はモルモン教徒でした。正直、宗教にはとても疎い私としては、まずはモルモン教徒とは、というところから調べ始めました。すると、モルモン教徒は若くして結婚してたくさんの子供をもうける家庭が多い、とあります。さらに今度は作者について調べると、モルモン教徒ではないものの、七人の子供を持つ母であるというではないですか! そこでふと、そういえば小学校にも、実は四人子供がいます、という方が何人もいて感動したことなどを思い出してしまい、そういえばだからあの子は兄弟に揉まれて生きているからたくましいんだわ、なんて、どんどん関係のない方へと発想がふくらんでしまって、気がつくと息子に格闘技でもやらせようかと格闘技の教室のウェブサイトを探してしまったりして… はっと気がつくともう息子をお迎えに行く時間になってしまってたりするのです。仕方ないから、この日はここで切り上げて息子を迎えに行きます。それでも迫るリーディングの期限。ここがまた、在宅翻訳のいい点でもあり、悪い点でもあります。短納期ならばわき目も振らずにひたすら翻訳するしかありませんが、多少余裕があったりすると、脱線、「芋づる式」なんでもござれになってしまい、その責任を自ら負って、一人深夜に作業をする羽目になったりします。あれほど余裕があったはずの昼間の時間、一体何をしていたのかと自らの行動が悔やまれます。それでも、やっぱり心置きなく脱線や「芋づる式」に興じることのできる今の生活、快適です。この「芋づる」の先にいつか実がついて、私の表現力や、背景としての知識へと進化してくれることを願ってやみません。さらにこれで話し相手がいれば万々歳なのですが…。当分は、一人会話が進むたびに夫にメールして、「ねぇ、今度息子に空手をやらせるっていうのはどうかしら」などと突拍子もない話題を振っては後はすっかり忘れる、ということが繰り返されそうです。私が在宅になって話し相手がいなくなったことの最大の被害者は夫かもしれません。