拝啓 愛しのPC様
あなたが私に一言も言葉をかけずに私の元を去ってからかれこれ数日…あんなに私はあなたを愛していたのに、あなたはなぜ私を捨てていってしまったのですか。
…そう書きたくなってしまうほどの衝撃でした。何が、って、仕事で使っている愛用のPC様が壊れてしまったんです! それも、作業をしている途中に突然、ディスプレイ全体が網掛けのようになってしまって、それ以降、きれいな画面を見せてくれなくなってしまって、データが判読不能に。はっきり言って私はまず形から入るタイプなので、仕事をする際に絶対必要なPCが壊れてしまったのは、致命傷以外の何ものでもありません。もちろん、こんなときに備えてサブのPCは所有しています。ネットワークもちゃんとつながります。でもでもでも! 普段使っているデスクトップPCの使い心地は満点。それに比べて、サブのPCはノートパソコン。キータッチがデスクトップに比べて劣るのは、言うまでもありません。おまけにスペックはそこまで悪くないはずなのに、全体的に反応もイマイチ。プログラムを立ち上げるにも、画面を遷移させるのにも、いちいち普段以上にワンテンポ遅れてしまい、なんだか肩透かしを食らった気分。これも一重に普段から愛情をかけていないせいかしら、などと不合理なことを考えてみたりもしますが、今となってはどうにもなりません。サブPCちゃんも心得ているのか、「普段かまってくれないくせに、困ったからって突然泣きついてきたって、優しくなんてしてあげない」と言わんばかりの強気な態度で、なんだか昨日まで以上に動作がノロい感じがするのです。それをだましだまし、「これまで冷たくしてごめんね、ほんとはそんなつもりなかったのよ」というような姑息な態度に出る私。愛しのメインPC様が修理に旅立って、いよいよサブPCちゃんを叱咤激励しつつ、本格稼動させざるを得なくなりました。まずは、ちょっとほったらかしにしてあったウィルス対策。メイン様はもちろん、在宅翻訳者として必要な最高レベルのソフトウェアを導入して保護してありました。でもサブちゃんは半年ほど前にウィルス対策ソフトの期限が切れてからはすっかりそのまま放置してあったのです。このままで仕事をするわけにはいかないので、ますはウィルス対策ソフトをあわてて購入しました。すると、今度はなぜか新しいソフトのインストールをサブちゃんが拒絶! ただでさえメイン様がいなくなって傷心の私はすっかり憔悴の段階も通り越して、半分キレながらサポートセンターに電話。結局それも一度の電話では解決せず、丸一日半、電話をかけては切り、またかけては切りを何度も繰り返して、ようやくたった一つのウィルスソフトのインストールに成功したのでした。次は、直近の仕事関係のファイルの読み込み。メイン様を送り出す際、重要なデータのバックアップはすべて取りました(それにも半日かかってしまったけど)。その中から、現在取り掛かっている最中の仕事のデータをサブちゃんに落とさなければなりません。メイン様に保存してあったデータは、年月とともに予想以上の量にふくらみ、膨大な数のCD-Rが目の前に積まれています。その中から必要なデータを探し出すのにも結局小一時間かかってしまいました。
そうしてようやく本格稼動に向けて臨戦態勢となったサブちゃん。条件を整えてみたら、かまってあげたのが功を奏したのか、急に反応が良くなった感じすらします。昨日までは使えないPCだと思っていたのに、俄然威力を発揮して、得意顔です。もしかしたら、メイン様が壊れたのは、サブちゃんにも目を向けるように、という神様の思し召しだったのかもしれません。(そんなことはないか。)
でも今回の事件で得た教訓が一つ。PCをフル活用していると、約二年に一度の割合で故障する。それとも、こんなに故障までの期間が短いのは、一重に私の扱いが乱暴だから…? そうでないと思いたいです。