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「職場環境」について考える

パンの笛

通訳・翻訳者リレーブログ

 やっと、私のメインPCことメイン様が戻ってきました。嗚呼、待ってたのよ、メイン様。遅かったじゃない。メイン様への愛は一層再燃しますが、これにてサブPCのサブちゃんはまたしても日陰者へと逆戻りしました。リビングの隅で、再び日の目を見る日をじっと待つサブちゃん。ごめんね、きっとまた頼りにする日がやってくるから…。
 それにしても、失ってその大事さに気づくものが多いことを改めて再認識しました。今回のPC事件もその一環ですが、最近私がとみに感じるのは、「企業という場が提供してくれていた職場環境のありがたみ」です。私が本格的に在宅翻訳者になったのはつい最近のことで、それまでは主に大企業ばかりに勤務する日々でした。当たり前のように企業が提供してくれる設備・環境・配慮の数々。大きなデスク、見晴らしの良い窓からの景色。電話、携帯、文具、PCなどの機器類。エアコン。そして福利厚生! これまでは、むしろちょっとでもその提供ぶりに不満があると、思ったことをすぐ口にしてしまう私の性格から、つい忌憚のない意見を担当者にぶつけたりしたものでした。(担当者の方、今さらながらごめんなさい。)でも、独り立ちしてみて改めて、そういう、本業とは直接関係のないフリンジの部分を担ってくれていた人たちはありがたい存在だったんだなあぁ、と気づくわけです。だって、PCが壊れても、可能な限り自力で直そうと無駄な努力をしたり、なかなかつながらない修理センターに電話したり、配線をほどき、PCの跡地を掃除し、サブPCを稼動状態にまで持って行き、戻ってきたPCを再度配線する。もう、思い出しただけでも疲れちゃいます。そして、意外に困るのがエアコン。私が普段仕事をするのは狭い四畳半の書斎。仕事場として独立しているのが良い反面、家庭用のエアコンは少々効きすぎてしまい、調節が難しいのが難点。いくら微風にしたり、除湿にしたりして細かく調節したつもりでも、一時間に一度くらいは電源をオフにして室温調節をしないことには、夏でも寒くて凍えてしまいそうです。内緒ですが、調節が面倒になってドアを開けたままエアコンをつけたり、なんていう荒業に出ちゃったりもしています。このほかにも、結構困るのが文具類です。例えば、大きなホチキス。翻訳の原稿や、仕上がった訳文は、最後はやはり紙面で確認したいもの。刷り出してみると思わぬミスが発見できたりします。分量が多くてもチェックの際に支障を来たさないよう、大きなホチキスで留めたい…と思っても自宅に大型ホチキスはなし。もちろん、買うことだってできるんですが、なくてもどうにかなる、と自分を誤魔化しているうちにずるずると不便な状態のまま過ごしてしまったりします。ポストイットだって、用途に応じて使い分けたいと思うのですが、敢えて色々買ってしまうとそのうち引き出しの奥に眠る羽目に陥って…などと余計なことを考えてしまいます。それでも、最近はアスクルに登録して、インターネットでぴぴっと注文してその日のうちに自宅に配達してもらえるようになり、どうにか文具の面はバックアップ(セルフヘルプ?)体制が整ってきました。そう、こういうフリンジの部分も含めて、仕事なんだなぁ、と実感してしまうわけです。私は社長 兼 秘書 兼 総務 兼 経理 兼 広報 兼 ヘルプデスク、そして担当者。まぁ、ある意味、すべての面は私のさじ加減一つ。誰かと争うこともなく自分のしたいようにすれば良いわけですから、文句の出ようもないわけです。
 やっぱり失って一番惜しいものは、ちょっとしたおしゃべりをする相手になったり、たまには一緒に飲みに出かけて日々の出来事について語り合ったりすることのできる、同僚かなぁ。なんでも一長一短。結局は私の中でのプライオリティの問題なのネ、と一人納得しています。
 (写真はデスクの癒し、多肉植物の「ゴーラ」です。)

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記事を書いた人

パンの笛

幼少時に英国に滞在。数年の会社勤めを経て、出産後の仕事復帰を機に翻訳を本格的に学習。現在はフリーランスの在宅翻訳者。お酒好きで人好き、おしゃべり好きの一児の母。

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