極めて個人的な視点から見た業界事情
私がこの業界に入った頃、繁忙期は年度末と秋、と聞いていました。最初の頃は、そう…かな???と思っていたわけですが、そうこうする内に勤務で社内翻訳などを経験するようになって季節とは無関係の立場に収まり、それからさらにしばらくして本格的自宅勤務者となってみた頃には、必ずしも繁忙期が明確にあるという雰囲気ではなくなっていました。「この時期なら確実にヒマ」ということは一切ない、という気がするのです。こんなに嬉しいことはありません。むしろどんと来てほしいと思います。翻訳の全体需要の裾野が広がっているのでは、という気さえしてきます。過去には特別な一部の熟練した、もしくは特別な挑戦的意識のある、あるいは特殊な必要性に駆られた企業のみが海外進出していたのが、今ではあらゆる分野のあらゆる規模の会社が、自分の分野と規模に合った方法で日常的に国境を越えて業務に当たっていると感じられるのです。そしてもう一つ感じるのは、過去には通訳業務に付随して発生することの多かった翻訳という業務が、以前以上に現場の人たちが数多く各自の力で他言語を操るような場へと出て行くようになってきたことに伴って、文書だけは翻訳してもらうか、という例が増えている気がするということです。もちろんこれはこうした業務の端っこも端っこ、最・末端にいる私個人の感覚であって、必ずしも全体像がつかめているわけではないのでどこまで正しいかは確信は持てませんが、それでも、取り扱っている文書の内容の多様性が目に見えて広がっている感覚は否めないのです。あるいは、エージェント業務が過去よりもずっと洗練されてきていて、あらゆる需要を上手に掬い上げられるようになってきているから、とも言えるのかもしれません。いずれにしても、夏休みから帰ってきてからも、嬉しいことに数多くのお問い合わせをいただきました。中でも何よりも嬉しいのがリピート案件。「前回もパンの笛さんにお願いしたので、今回もお願いしたい」と言ってくださると、なんとも言えない嬉しい気持ちでいっぱいになります。期待を裏切らないように、私も張り切って行かなくては! 暑い、とバテているばかりいるわけにはいきませんね!