BLOG&NEWS

訳文が天から降ってくる

パンの笛

通訳・翻訳者リレーブログ

 三連休です。例によって、昼間は家族と外出、夜はお仕事、というパターンです。でも明日(この文章を読んでおられる皆さんにとっては今日)からは通常稼動! 嬉しくて涙が出ます。さて、この連休の間、お休み明けの納品の仕事に取り掛かっていたわけですが、夜の仕事はどうしても、はかどり具合に波があります。なんだかいつまでたっても、やらなくてはいけないのはわかっているけど気分が乗らない日もありました。遅々として進まない作業。空しく過ぎてゆく時間。時計の音ばかりが大きく聞こえます。そんなときでも、頭の中では、目の前の文章が行ったり来たりしています。そうすると、どんなに勢いが乗ってこないときでも、何の前触れもなく突然勢いがつく瞬間があります。まるで青天の霹靂のように、「そうだ!」と思った瞬間、キーボードを打つ手が、自分で考えるよりも早く動いて、文章を入力しているのです。それは正に、天から訳文が降ってきているかのよう。入力を終えた文章を、まるで他人が入力したもののように呆然と見つめてしまったことも、一度や二度ではありません。そうやって打った文章は、後になって見返しても、なんだか他人が打った文章のようで、覚えていない、というのか、自分の苦悩が入り込んでいない文章に見えてならないところがますます不思議です。特別出来上がった文章全体の中で浮いているわけではないのですが、何度見返しても、天からの指令を受けたとしか思えない出来上がりになっていたりするのです。そういう「天啓」は、待っているわけではないのですが…。むしろ、待たずとも順調に自らの力で一歩一歩作業を進めたいとは、もちろん、思っていますよ。念のため。でもこの傾向は、年々増している気もします。特に夜中に作業をしている時に。なぜなんでしょうねぇ。不思議です。本当は、頭の中で原文が「行ったり来たり」の間に無意識に推敲を繰り返しているのでしょう(そうだと思いたいです)。

Written by

記事を書いた人

パンの笛

幼少時に英国に滞在。数年の会社勤めを経て、出産後の仕事復帰を機に翻訳を本格的に学習。現在はフリーランスの在宅翻訳者。お酒好きで人好き、おしゃべり好きの一児の母。

END