アイスランド火山噴火
欧州で第二次世界大戦以来ともいう航空網の麻痺を引き起こした、アイスランドの火山噴火。筆者の周辺にも少なからずその影響が見えた一週間でした。
先週末、年度をまたいだやや大きなプロジェクトを何とかまとめ、今週は主に日本から来訪中のクライアントに対応していました。このクライアントは、すでに噴火発生前にヨーロッパに到着していましたが、噴火によってヘルシンキ行きの便が飛ばなくなってしまったため、列車でスウェーデンのストックホルムまで移動した後、大型旅客フェリー「シリヤ・ライン」で16時間かけてヘルシンキ南港に到着しました。日本からの情報が錯綜する中、たまたま個人的なお友達がヨーロッパで旅行会社に勤務していたために、国際電話ごしに何とかアドバイスをもらい、インターネットでチケットを確保できたのだそうです。こんな緊急事態、もしやこの仕事はキャンセルになるのではないかと思っていたのですが、素早い機転とフットワークでヘルシンキまでたどり着くことのできたクライアントには脱帽・・・。
訪問先にも出張を取りやめた方々が多数いる中、各所で驚かれていました。
また、プライベートでもこんな一件が。この週末、誕生パーティに呼んでくれている親しい友人に「プレゼントは何がいい?」というSMSを送ったところ、彼女は誕生日にちなんで家族でポルトガルを旅行中で、フィンランドに戻れず足止めをくっていることが判明。ホスト不在のため、予定されていたパーティの開催が危ぶまれます。「プレゼントの希望、なし」という簡潔な返事に、なぐさめの言葉もなく・・・。
さらには、ヘルシンキで足止めされているという日本人旅行者の方から、携帯電話の連絡先を公開しているさるルートから「街を案内してくれませんか」という問合わせが入ってくるまでに・・・。このような状況で頼りにしていただき、何かしらお役に立つことができればよかったのですが、件のクライアントに終日同行していたため丁重にお断りせざるを得ませんでした。
こうして、多くの人々が困っている状況を目の当たりにしました。しかし、22日になって何とかフィンランドの空の便も正常化に向けて動き出し、ポルトガルにいた友人からは、帰国の連絡が入ってきました。クライアントも、予定通り週末に帰国の途につけそうです。
この自然災害にまつわる経済的な打撃が大きく報道され、それはその通りだろうと思います。しかし本来、安全と人命より大切なものは他にないはず。そして、ある通訳仲間の友人いわく「当のアイスランドの状況は、どうなっているのかしら?」。
今回の一件に巻き込まれた皆さんが、世界に散らばるそれぞれの家に早く安全に戻ることができるよう祈っています。