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勉強中

トナカイ

通訳・翻訳者リレーブログ

今日は、ヘルシンキから170kmほどの地方都市からこの記事を書いています。今年の1月から、この街の成人教育機関で開催されているコミュニティ通訳資格(社会福祉、医療、警察、司法、日本語・フィンランド語間)取得のための講座に参加しており、来年春の職業資格取得を目指して勉強中です。平日はMoodleやSkypeを使って家でeラーニング、週末(金・土)は、月に1〜2回程度泊りがけでこの街に来て授業に出ています。

日本からの来訪者の方と同行する伝統的?な視察通訳、最近多い専門調査や検査、商談などの通訳に対し、コミュニティ通訳の方は、観光シーズンに時折病気やけがをした旅行者の方のために医療通訳に駆り出されるといった程度でした。
それでも、コミュニティ通訳者はフィンランドで数少ない語学分野の資格の一つで、フィンランドの公共機関が必要とする人材であること、そして自分自身も、限られた状況の中で、通訳・翻訳力を高めるためなら手段を選ばない(!)ことをモットーとしていること、この通訳分野は他の分野に比べると地味だけれど、自分なりに思うところあってアプローチしてみたいと思ったこと、そして遠方で授業があるにも関わらず、夫が何の疑問も持たずに協力してくれていること(私が鈍感なだけかもしれませんが、、、苦笑)、そして・・・何よりも、倍率約5倍の選考に通った・・・といったことで、学校に籍を置くことになったのでした。

と、ここまでは実にご立派な美談なのですが、妻であり母であり、一介の事業者でもあり、かつ目に見える成果を出すための勉強もするということは・・・器の小さい自分には時間が足りないし、スタミナと気力も途切れかねない、といった状況の連続なのであります。
最初の3ヶ月は毎週土曜日に仕事をしていたため、スクーリングは実質金曜日のみで日帰り。Moodleには常にてんこ盛りの課題、メールで送られてくる日報は開ける気にもならず・・・また、仕事の締め切りと学校の締め切りのどちらを優先するかといえば言うまでもなく前者ですので、仕事を一生懸命やればやるほどたまる課題。幸い、大学と違って成人教育のコースですので、そのあたりは先生方も目線が低めで、生活、仕事、学業をこなさなければならない状況をよく理解してくださり、多少の遅れは大目に見てくださっているようです。
もっとも、最後の資格試験の段階で力がついていなければ、それ相当の評価が返ってくるということですが・・・最悪の場合は、試験さえ受けさせてもらえません。

ダメ生徒の実情を明かせばきりがないのでこのあたりにするとして、学校に入ってから自分の勉強で一番目を開かされたのは、通訳技術もさることながら、むしろ平生筆者が最も苦手としている語彙の取り扱いだったと思います。フィンランドの単語は複合語が多いので一見簡単な印象があるのですが、語尾がちょっと違うだけというような似た単語を並べてみて「この違いは?」となると一筋縄ではいかないものを感じます。また、公共機関名はほとんど英語の名称から日本語に翻訳されているため、フィンランド語の名称を直訳しても意味が通らないことも多々あります。
今まで実務の中で取り組んできたことではありますが、もう一度精査し、洗いなおし、知らないこともさらに覚えていく、と・・・そんなことの繰り返しです。

試験の方は、次回だめでも毎年チャレンジが可能です。若い頃は一度でも失敗したら恥ずかしいと思っていたかもしれませんが、今は・・・プロセスも大事と思える中年になりました(笑)。まだ1年近く先のことでもあるので、それほど焦りは感じていないのですが、常勤の仕事に穴をあけたことや、子供たちのことを思うとやはり少しでも早く形にしたいところ。
このような機会を与えられていることに感謝しつつ、まずは勉強に励むことにします。

Written by

記事を書いた人

トナカイ

フィンランド・ヘルシンキ在住の多言語通訳・翻訳者。日本で金融機関に勤務の後、ヨーロッパへ。留学中に大学講師を務め、フィンランド移住後は芸術団体インターンなどを経て現在にいたる。2児の母。

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