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時間ができたぞ! しかし・・・

ガットパルド(gattopardo)

通訳・翻訳者リレーブログ

プライベートで友人に会うと、たいてい「で、どうなの、最近、仕事、いそがしい?」という話題がでる。
先日もある友人に食事の席でそう聞かれて「さいきん、わりとひま。」と答えたら、「あなたの場合は、その『さいきん』っていうのが、ここ数ヶ月なのか、数週間なのか、昨日からなのか、わかんないね。」と言われた。
言われて「なるほど・・・」と思っちゃう。自分でもそのへん無意識だったよなあ、と。翻訳や書類作りの締切りが重なってパソコンの前で目を血走らせている時には、完全に「仕事脳」になっていて、テレビのニュースさえ見る余裕がないほど。そういうときに「どう?」と聞かれれば当然「もう死にそうなほど忙しい!」と答えるけど、どうにかこうにか締切りを通過してほっと一息つくと、こんどはワイドショーを横目で見ながらマニキュアを塗ったり、トイレの掃除に1時間もかけたりする精神状態になり、「え?いまめちゃくちゃのんびりしてるよ〜。」ということになる。
でも、ほんとうに正直なところ、自分が果たして世に言う「忙しい人間」なのか、「ひまなやつ」なのか、自分でもよくわかりません。
まだまだいくらでも実のあることができるような気もするし、でもやっぱり体に無理がきてるような気もするし。これは、会社に勤めている人とはちがって「何時から何時まで仕事するのが普通のペース」という基準がないからだよね。
一般的にフリーランスで通訳などしていると、あきらかに仕事時間、として拘束される時間は、お勤めの場合より少ないかもしれない。でも、その準備のための勉強時間、エージェントやクライアントとのアポイントの調整などにかかる事務のための時間、請求書を発行して、帳簿をつけて、年に一度の確定申告の手間・・・まで考えると、なんかもう、なにをしてても仕事につながっていく、という気もする。
げんに、純粋に遊びでともだちと歌舞伎を見てても、ストーリーの展開がオペラのあの作品に似てる、こんど外来のアーティストと話す時にはいい話題になりそうだ、とか、おいしいレストランで食事してても、和食なら和食で「この料理を外国語で説明する場合、どういう単語が適切か?」と考えるし、反対にフランス料理とかだと、テーブルにでてきた材料の名前でうろ覚えのものがあったりすると、なんだか自分に腹が立って、家に帰って即座に辞書を引いたりしている。
けっきょく、24時間、365日、仕事の意識からは抜けられない人生になってるのね。あるいは、日常生活で楽しみながらしていることが、すべて仕事の質向上に役立つのだから、幸せといえるかも。
・・・え? そうなの、ようするにただの「貧乏性」よ。
来週はこんな私もついに冬のバカンスの話題です。おたのしみに。

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ガットパルド(gattopardo)

伊・仏・英語通翻訳、ナレーション、講師など、幅広い分野において活動中のパワフルウーマン。著書も多数。毎年バカンスはヨーロッパで!

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