若者は石アタマ?
2006年になってしまいました。
年賀状は書き終わらず、旅の荷物は完全にバラシ終わらないまま。またもや「ジャングル・イヤー」のスタートです。でも最近は、旅の帰路の前の荷造りですべてお土産や現地で集めた資料の分類を済ませ、自宅に戻ってスーツケースをひらけば、それがそのまま整理された収納ボックスと化す、というテクニックを習得。たから、以前ほど「邪魔で邪魔で、もう・・・!」ということにはならない。ま、「ダイエットして、体重は減ってないけど体脂肪率は下がってるのよ!」っていう言い訳と一緒ね。
さて、遅くなりましたが「南仏ベベ報告」です。今回、彼らの実家で数日間を過ごすとともに、私の用事につきあわせて、北イタリアを一緒に小旅行する、という楽しい体験を持ちました。愉快な思い出数々あれど、私の脳裏にもっとも深く焼き付いているのは、16歳の少年の髪型に賭ける情熱と、15歳の少女のアイメイクへのこだわり。
お兄ちゃんほうはさりげないショートカットのヘアスタイルで、べつに洗ったまんまでも十分さまになるし、それどころか、ハンサムくんなので平均以上に「イケテル」のです。なのに、毎朝30分もバスルームにこもり、アタマのてっぺんにジェルをつけちゃあ、毛先をツンと立ててみて、やっぱり気に入らないとまた水で流し・・・という作業を、5度も6度もくりかえす。いちいち私に「このかんじ、どう?」ときくので「べつに、どんなスタイルでもかっこいいよ。」と正直に答えるんだけど、かえって複雑な表情をされてしまう。
妹ベベのほうはというと、のんびりやの兄の作業が終わるのを待ってられるかという表情で、さっさと部屋の中の大きな鏡の前に陣取り、化粧ポーチを開けてビューラーをとり出す。むか〜し、日本の大手化粧品会社の世界規模の調査で、日本女性が初めて手にする化粧品は圧倒的に「口紅」だったのに対し、西洋人女性は「アイメイク用品」とあったのを思い出す。おませベベちゃん、兄の優柔不断さとは対照的なすばやさで「ブルーかな、赤かな・・・今日の服はこれだから、赤だな。」と「本日のアイシャドー」の色調を決定。「目の回りに、赤???」と意外な表情の私のことなど気にも留めず、じつに器用にラインを引き、濃い赤、うすい赤、キラキラするピンクと数色を使い分けて、なんとも印象的なおめめのできあがり。黒いダウンジャケットに牡丹色のマフラーを巻き、完璧にカラーコーディネイトされた全身を鏡に映して満足げ。
そして私はというと、3人のバスルーム争奪戦にはつねに白旗、その日のスケジュールを考え「もう時間ないからスッピンでいいや。」ってなもので、でもやっぱりミラノのガレリアの高級店のショーウィンドーに映る自分の顔を見て「やっぱまゆ毛ぐらい描けばよかったかな・・・」と真昼の後悔。人に迷惑かけても、旅程どおりにコトがすすまなくっても、朝の身繕いの時間だけはガンとしてゆずらない2人のティーンエイジャーに「若者はアタマが柔軟」なんて、ウソだよな、と感慨深くなる私。
思えば自分も、中学高校のころ、シャンプーとかのコマーシャルに影響されて、一日中ロングヘアの髪の毛のブラッシングしてたっけ。「何回とかしたって、べつに変わんないわよ、かえって毛が抜けちゃうわよ!」と、イラだって私を洗面所から駆逐した母の気持ち、いま、わかる。そして、それでも自分の部屋で、いつまでも悦に入ってとかしていました(笑)。
若者は、操縦するに難し、です。