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異業種探訪

ガットパルド(gattopardo)

通訳・翻訳者リレーブログ

風邪がぬけず。
しかし、どうしても休めない仕事のために3日ほど都内に出たら、さらにひどくなってしまい、観念してついに医者に行ってきました。
わたしは、決して自慢になるようなことではないけども、とにかく、最後の最後まで医者にいかない。医者はみんな正論を言う:「ゆっくり休んで下さいね。ストレスためないで。」それができるぐらいなら、そもそもこんなとこに来てないよ!と悪態をつきたくなる。診察券の日付をみたら、最後にこの同じ医院にきたのは平成11年だった。そういえば、そうそう、入るとあそこにストーブがあって、テーブルで自由に温かいお茶が飲めるようになってて・・・と、記憶がうろうろと蘇る。
院長先生の顔、しゃべり方、そうだ、この人だった・・・と、診察を受けながら思い出した。診断の結果は別になにがどうという特別なこともなく、とにかく効きそうなクスリを処方してもらい「よく休むように。」はい、了解。
しかし、お医者さんっていうのは、まず「お客がこない」「仕事がない」ってことは、よっぽどのやぶ医者で悪評でも立たない限り、ないだろうなあ、と思う。しかしそのかわり、自分の自由な選択で長期の休暇、なんて、状況がものすごくうまく作用しないと不可能なんだろうな。
フリーランスで通訳などしてると、いくつも仕事が重なって寝るヒマもない、ということがたまに起るけど、そのぶん、一区切りつけば誰に気兼ねすることもなく休めるし、最悪、収入が減ることさえ覚悟すれば、時間的にはかなり自由になる職業だ。
何日も何週間も病状を気にしてあげなければならない長期の患者などがいたら、そうもいかないのが医者の大変なところだろう。
そして、むかし医者だった人が、「大変だから」とか、「自分には向いてないことがわかったから」といって、医者以外の職業に転職した、という話は、すくなくとも自分の身のまわりではきいたことがない。それほど魅力のある職業なのか、あるいは、社会的、構造的に拘束力がはたらくのか。
かえりに行きつけの喫茶店で元気のでるホットココアを飲んで帰った。
アルバイトの女の子はまだ大学生の年格好、いらっしゃいませ、ご注文お決まりの頃に伺います、と、マニュアル通りの接客。こちらがコートを脱いでいる動作の真っ最中に、おしぼりを渡そうとする。オイオイ、ちょっとまてよ、どうやって手を伸ばせっちゅうの。おまけに今日は、病人なんだゼ!・・・でもそのせいで、ガンつける気力もない。「言われた通りのことさえしてれば、時給がもらえる」これも「仕事」。
感慨深く、世間の「仕事」を観察してるってことは、まだ体力に余裕がある証拠。
しかし油断せず、今週はおとなしくしてよう。

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ガットパルド(gattopardo)

伊・仏・英語通翻訳、ナレーション、講師など、幅広い分野において活動中のパワフルウーマン。著書も多数。毎年バカンスはヨーロッパで!

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