まるでこのごろの天気みたいな
わたしの日々。
いえ、べつに、晴れた日はいいことがあって、雨の日は泣いている、というわけではない。
なんとなく、おちつかない。さだまらない。どうも、ゆらゆら。忙しいような、ヒマなような。
思えば、こんな生活を始めてはや10年。最初のころは、どうも、仕事が来ない次期というのは不安なものだった。自分ってやっぱ実力がないのかな〜〜、とか、うっかりクライアントを怒らせるようなこと、言ったりやったりしてないかな〜〜、とかね。いろいろ、疑心暗鬼になってた時期っての、あったわよ。
でも、ここ数年はもう、すっかり開き直って「おうおう、アタシの通訳が気に入らないって言うんなら、ど〜ぞど〜ぞ、だれでもほかの人に頼んで下すってけっこうですよ。こっちはこっちで、勉強するだけのことはしてきてるんだから。それで訳し方が気に入らないって言われても、もう、なんにもできませんよ!」と、わからず屋のクライアントには「ブチかます」ことにしている。しかし、人間おかしなもんで、こう言ってみると「あ、いや、そういうつもりじゃなくって・・・え〜っと、いえ、いいんです、ガットパルドさんで、すごく助かってます!!」とかいう返事が返ってきたりする。
みなさま、いざとなったら自らきびすを返して「去り」の姿勢をみせる、というのも、いいかもよ。カルメンを追い続けたドン・ホセよろしく、人間「去られると追いたくなる」からね。自分のなにがいけないの〜〜〜??もっと勉強するから許して下さい〜〜〜、なんて、言う必要、ない、ない!!
・・・っと。なんか横道にそれましたね。
いえ、ただ単に、仕事というのは来る時には2つも3つも重なって、来ない時には全然来ない、ということが(再度)言いたかっただけ。で、ここ1週間ほど、かなりのんびりしてました。ここぞとばかりに「リッツ計画」に再着手。しかし、ちょうど去年のいまごろ決意して、それ以来、何週間かかけて部屋を片づけてみては、また仕事の波にのまれて気がつくとジャングル復活・・・というペースを繰り返し、一年経って、けっきょく部屋はもとのまま。多少は、壁や机上をいろどるアイテムが入れ替わりはしたけれど。
ってなわけで、定まらない天気のように、朝からすっきり力を入れて掃除と室内美化に励む日あれば、正反対に缶コーヒーを飲みながら満員電車に揺られて早朝から都内にでかけて、クライアントに指示されるまま、3言語のどれかをしゃべったりしてる日々。
このごろは、不安定なペースに不平もいわず、どうせまた、次のウエーブがくるのさ!と、ワケ知り顔でゆっくり自宅のダイニングで大相撲中継みながら「午後ティー」を楽しんでいると、ほ〜ら、電話が鳴る。
「あ、ガットパルドさん? あのね、来週の水曜ね、スケジュールどうなってます?テノール歌手のインタビューお願いしたいんですけどね・・・」「ほいほい、いま確認しますからちょっと待ってて下さいね(って、こんごひと月分のスケジュールぐらい、すべてきちっと記憶してるんだけど、即答せずにもったいをつけるわけよ)・・・はい、空いてますよ〜!」「あ〜〜、よかった〜〜!よろしくたのみます〜〜!!」・・・というわけで商談成立。某イタリア人有名テノールのバイオの下調べを開始。
私ももう十分名前は知ってるし、舞台も何度か見たことがある、この「いぶし銀」系の歌手の、生年月日、出身地、キャリアの重要ポイント、近年の仕事ぶりなど、ネットであれこれさらっていると・・・ほ〜ら、また電話。こんどは国際電話だ。
「おう、久しぶり!夏のファッションフェアーの日程が確定したから、いつも通り、カラダ空けといてくれよ!お前さんが通訳に入ってくれないと、売り上げが落っこっちまうから、ぜひよろしく頼むよ!」「はいよ〜〜。空けとくよ〜。」
ウエーブを熟知してる、とか言うと、なんだかハワイのサーファーみたいですが、どう逆立ちしたってしょせん私は人のいい大和撫子。やはり「カルメン」にはなりきれないのでした。さあ、仕事しよ〜!!!