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化粧品モニター

ガットパルド(gattopardo)

通訳・翻訳者リレーブログ

初体験。
大学時代の友人が、某化粧品会社で仕事をしている。なんでも、DとかCとかGとかで始まるような、超メジャー高級ブランド製品の「製造元の研究所」だそうで。発売前の新製品のモニターをやってみないか、と電話がかかってきた。
なにをかくそう、私は、コスメ&トイレタリーオタクです。コスメといっても、顔に色やら線やらを書くほうのじゃなくて、お肌がつるるつるになるクリーム、とか、そういうほう。でも、そういうのって、けっこう高いものは高い。しかも、洋服とか靴と違い、気に入らなかったり長いこと使わなかったりしたらフリーマーケットで売っちゃえ、ということもできないから、あんがい、オタクはオタクでも、トライできる種類には限りがでてくる。そこへ、この話。イチもニもなく乗ってしまった。
送られてきた製品は5種類。これを1ヶ月間使い続けて、感想を書いて送ればいい。もしこれが、将来的にG…ブランドの製品になるんだとしたら、ぜんぶで5〜6万円はするなあ、などと、せこい計算。でもなんだかたのしいわ。
そんなわけで、すでに1週間、この「まだ名のない」、しかし高級感あふれる化粧水だの、クリームだの、マスクだのを肌にのっけて、うきうきと過ごしている。どうかな〜〜、きれいになれるかしらん。
しかし、昨今の化粧品ブームにはすごいものがありますよね。電車の吊り広告を見ても、デパートの売り場に行っても、よくもまあこれだけ並んでますわ、と呆れる量の製品が溢れています。たとえば20年前にくらべて、マーケットの規模はどのくらいになっているのか。私が大学卒業したころには、国内の大手化粧品メーカーが新卒女子社員のためのメイク講習会、みたいなこと主催してた記憶があるけど、いまってどうなのかな。中学・高校からバシバシお化粧はじめちゃう時代に、そういう、大学卒業と同時にやっとお化粧、なんて女の子は、もはや「化石級」なのかしら・・・私はそのくちだったけど。
海外にでかける機会があると、その直前に都内のデパートのフランス製の高級品メーカーの売り場で「下調べ」。品質と日本での値段をチェックしておいて、良さそうなものは免税店でゲットしようという腹づもり。しかし、イラつくというか、腹が立つというか、さらっと聞き流せばいいものを、どうしても背筋に悪寒が走るのを押さえきれないのが、販売員のお姉さん達の使う「カタカナフランス語」である。
自分の度量の小ささとヤな性格を暴露してしまうけど、私は、外国語または外来語を日本人が話すとき、ロジックが乱れている人よりも、発音がいいかげんな人、「音」の繊細さに注意を払わない人に無性に腹が立つ。たとえばフランス語では「敏感肌」は peaux sensibles とつづり、「目元用」は pour les yeux なのだが、もちろんこの場でこれらの正しい発音までは解説できないけど(残念!)、これを、ただ販売員のための講習会でカタカナでまる覚えしただけの若いオネエサンたちが「ポーサンシーブル」「プールレジュー」と、ひらべったい日本語の音でおっしゃるのを耳にしたときの、私の怒りがわかりまっか!!!
・・・ああ、本性あらわしてしまったわ、ついに。ただ化粧品モニター体験、たのしいわ!ってことを書くつもりだったのに。
でも、私はつねづね、通訳の現場でいろいろな人たちを見ても思うのですが、多少文法がなってなくても、ボキャブラリーが足りなくても「きれいに、ていねいに発音している人」は、非常にポイント高いと思うんですよね。
手紙とおなじで、ちょっとぐらいまちがった字を書いてても、ゆっくり、ていねいに書かれた文字には、人は好感を持つものでしょう。反対に、どんなに立派な内容でも、読む人の気分をイメージせずに「走り書き」されたものには、そういう心に染み入ってくるパワーは、ない。
コンテンツとエステティック、どちらが大事なのか。バカな美人か、利口なブスか?・・・と、人類永遠の命題から、なんとか化粧品談義に戻そうとしてるんだけど・・・無理だわん。
しかしつくづく、通訳のための勉強云々のまえに、そもそも義務教育の英語の授業で、もっと正しい発音・・・音声学上の、というだけでなく、聞く人の立場になって、どういう話し方が聞き取りやすいか、ということ、もっと重点を置いて指導するべきだと、私はつねづね思うのです。それでどれほどの人が得をすることになるか。MBAの取得なんかにやっきになる前に、やるべきことはあるような気がいたします。
私見というほどのこともない、今夜はただの、戯れ言にて失礼。

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記事を書いた人

ガットパルド(gattopardo)

伊・仏・英語通翻訳、ナレーション、講師など、幅広い分野において活動中のパワフルウーマン。著書も多数。毎年バカンスはヨーロッパで!

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