BLOG&NEWS

渡欧が近い・・・

ガットパルド(gattopardo)

通訳・翻訳者リレーブログ

半分、仕事、半分、あそび。
私が年に数回、ヨーロッパに出かける理由。
またでかけてまいります、今回は旅程のメインはフランス、パリ。
いくつか仕事のアポイントも入っていますが、どちらかというと、ふだん自分が興味を持っているサブジェクトについて、やっぱりインターネットや書籍だけでなく臨場感を持って現地でいろいろ見たり聞いたりしたいもんね、という「リサーチならびに情報更新の旅」です、今回は。
しかし、パリです。典雅かつ優雅かつ、なににつけてもこまっしゃくれて一筋縄ではいかない、都会中の都会。どうやって楽しむか、その方法はまさしく無限。
ざっと「あそこへ行こう、あれを見よう」と思いつくままリストにしただけで、約一週間の旅程表がぎっしりになってしまった。
到着したその日の夕方は、すでに現地入りしている通訳の友人とスケジュールが合えば、グルメ路線でちょっといい店で夕食。翌日はパリではいつも通っているカルチャーセンターみたいなダンス教室で汗を流す。12時間のフライトのあとには筋肉がすごく固くなってるので、旅程の初めのほうにこのプロセスと入れておかないとあとあと体力がもたなくなる。最近、このダンススクールに、10年ほど前まで世界のトップで日本にも熱狂的なファンを持っていた男性ダンサーの P.D.氏がクラスを担当することになったという話題をゲットし、なんとしてでもこの人のレッスンを受けようと思っている。
ここまでは、いわば「旅の入り口」の儀式。メインイベントはこの後に続く。まさに「鈴なり」。バスティーユオペラの公演を見る、しかし、チケットは激安を狙うので、当日売り出しの5ユーロ券のためには朝から窓口に並ばなければならない。何時間並ぶことになるか予想ができないから、まず、欲しかった本を先に本屋で買ってから、切符売り場へ。並びながら読書。日曜の朝市にはカメラを携えて出かけ、星の数ほどあるチーズ屋や八百屋、肉屋の屋台にならぶ品物と荷札を写真におさめる。帰国してから写真を大きく引き伸ばして整理しておけば、非常に役に立つ「フランス料理食材辞典・2006年当時の平均価格つき」に仕上がる。しかし、サン・マルタン運河の巨大朝市は日曜と木曜。オペラの日とこの計画は同日は無理だな。
そして、買い物。私の買い物リストにはめったに「ブランド品」が加わることはない、友だちに「買ってきて!」と頼まれない限り。ではどんなものをリストにするのかというと、デパート・ボンマルシェの食料品売り場にしかないブルターニュの塩、クリのはちみつ、アラブ式のミントティーのティーバッグ、黄色い果皮の干しレーズン、知る人ぞ知る10区と9区のお菓子屋さんの板チョコとバター飴、新宿伊勢丹で買うと5万円する、エレス社製の水着(ただし、現地価格で250ユーロ以下だった場合に限る)、レペット社本店でバレリーナシューズまとめ買い・・・などなど。なんだか、こまかいね!!!
ムフタール近辺の細いいつくかの路地、18区の丘の北側、閑散としたエッフェル塔周辺の住宅街の、ロダン美術館のあるあたりを、何年も前から写真におさめたいと思っているので、フォトグラファー散歩にまる1日。パリから国鉄で日帰りできるシャルトルにもなんとか行けないものかと思ってるし、それよりなにより、映画鑑賞だ!! ビデオやDVD でなんでも見られる昨今だけど、パリの映画館でムカシの映画を見る・・・これだけは、毎回絶対はずせない。とくに今回、「たのしみだ!」と大声で言ってしまうと不謹慎だが、カンヌでの受賞歴がある今村昌平監督が亡くなったので、パリの名画座で一挙に特集上映をしている可能性がある。「楢山節考」は、ぜひ見たいと思ってたのだ。日本映画をフランス語の字幕で見る・・・これがまた、非常にいい勉強になる。空港に着いたらすぐに、週間イベント情報誌を入手して、赤鉛筆片手に映画上映時間表の総チェック。
いきつけのカフェのご主人にもあいさつに行かなくちゃ、でもあのカフェとこのカフェと、向うのカフェと、いっつも入ってみたいと思ってるけど時間がなくて。
「一度は絶対うちに食事にこい。」と行ってくれてる友人達が3家族。これらをすべて1週間でこなさなければならない。東京で仕事に両手両足が塞がっているときよりも忙くなる。
しかし、心はウキウキ。
あいかわらず直前まで仕事に追われ、成田行きのリムジンの中でも翻訳やってそうな気がするけど、飛行機にとび乗ってしまえばあとは野となれ山となれ。
パリに20区あるうちの、どっかの区の片隅の小さな路地で、とつぜん心臓発作に見舞われて、二度と日本の土を踏めなくたって、もう、いいもんね。
そうなったとき、わが家に残す愛犬の、白黒だんだらのふわふわの毛に触れられなくなることだけが心残り。
あとはもう、心ははやるばかりでございます。

Written by

記事を書いた人

ガットパルド(gattopardo)

伊・仏・英語通翻訳、ナレーション、講師など、幅広い分野において活動中のパワフルウーマン。著書も多数。毎年バカンスはヨーロッパで!

END