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アースの皆既日食旅行記(10)

アース

通訳・翻訳者リレーブログ

わたしは遠足の前日は絶対に寝つけない、おめでたいタイプなので、日食前日は眠れるかしら、と心配であったが、やはりポートランドからの長距離ドライブのせいか、お天気サーチに疲れたのか、すぐに寝入ることができた。

日食当日、ホテルの中がざわざわして予定より1時間早く目が覚めたのだが、その前に一つエピソードを。

これまでまったく説明して来なかったが、今回、ホテルでの宿泊はすべて「3人1部屋」であった。もちろん予約時に、3人部屋にするか、わたしだけ別のシングルをとるか聞いてくれたが、彼らの自宅に長期滞在させてもらったこともあるので、そちらさえ差し支えなければ、3人1部屋で良い、と答えておいた。

結局、今回の旅行では、彼らの家にたどり着くまで、同じ部屋で8日間過ごしたことになる。荷物の散らかし方、水周りの使い方、着替えのやり方、出かける前の準備時間などに大差はなかったが、ひとつだけ、まさにフタを開けてみなければ分からない大問題があった。「エアコンの設定温度」である。

ポートランドでの第一日目。夜中。わたしは尋常でない寒さで目が覚めた。旅行一日目にして、まさか風邪をひいたかと思ってエアコンの設定温度を見に行くと、63度である。

あそっか華氏だ。
おお、このエアコンは摂氏表示がある。
素晴らしい。ぴっ。
は? はへ? 17度???

キミたち、日本では摂氏28度(華氏82.4度)の設定が推奨されているんだよおっ!とぐーぐー寝入る2人に声なき声を投げつけ、こっそり設定を20度にしてベッドに戻ったわたしであった。ぎりぎり許せる温度である。

これまたいままでまったく説明してこなかったが、ジョンはいわゆるアメリカ人体型で、背はそれほど高くないが、料理好きということもあって、はっきりいってプクプクさんである。日本の真冬でも半袖で歩いているクレイジーな輩がときどきいるが、ま、そういうことだ。サラはアメリカ人としては普通である。

昨夜、尋常でない寒さだったと訴えたところ、「やっぱり?」という答え。ひどいわ。聞けば、自宅の寝室でもジョンの感覚に合わせてエアコンを設定し、サラはそれに合わせて着込んだり、布団を増やしたりするとのことであった。

結局、わたしが掛け布団を2枚余分に掛けることにして、この話は決着した。

今回は特に環境問題にうるさい西海岸を動き回ったこともあり、ハイブリッド車の普及などもあって、以前アメリカに行った時と比較して「驚くほどのエネルギーの無駄遣い」を感じる場面は少なかったのだが、エアコンの設定のように、微妙な感覚の違いという意味では、時々びっくりさせられた。

また日食とは関係なくなってしまったが、ついでにポートランドでのエピソードをもう一つ。本旅行記第3回で、今回持参した現金は、もともと家にあった硬貨7ドル分のみであった、と説明した。以下はその後のエピソードである。

初日にホテルに落ち着いた後、今回の旅の間の支払いについて話し合い、すべての支払いをジョンとサラにお任せして、最後に清算してもらうことになった。「なにしろ、持ってきた現金はこれだけだからねぇ〜」と、7ドル分の硬貨をじゃらじゃら見せると。「ギャハハ。このキャッシュレスの時代に、しかも硬貨だけとかってウケる! だいたい何枚あんのそれ!!」てなようなことを言うジョン。そう、7ドルのほとんどがquarterつまり25セント硬貨だったのである。4枚で1ドルだから、20枚はあったろうか。「いいんだもん、いつか役に立つんだもん。ブヒブヒ」てなようなことを言うわたし。

ぎゃはぎゃは笑ったジョンに目にもの見せてくれる機会は、存外早く訪れた。ホテルのコインランドリーである。3人でランドリールームに入り、機械を見ると・・QUARTERS ONLY(25セント硬貨のみ)とある。「ワーハハハハ。乾燥まですると1回2ドル50セントだって。てえことはぁ~10枚必要だねえ〜ワーハハハハ」てなようなことを言うわたし。

日本よりはるかにキャッシュレスの進んでいるアメリカであるからして、当然ながらこれ以降はまったく役に立たなかったのだが。おかげで帰りは2ドル50セント分、カバンが軽くなりましたとさ。

さて、またもや脱線してしまったが、次回以降は今度こそ日食!である。

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記事を書いた人

アース

金沢在住の翻訳者(数年前にド田舎から脱出)。外国留学・在留経験ナシ。何でも楽しめる性格で、特に生き物と地球と宇宙が大好き。でも翻訳分野はなぜか金融・ビジネス(英語・西語)。宇宙旅行の資金を貯めるため、仕事の効率化(と単価アップ?!)を模索中。

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