IN SEARCH OF CHIC
NZに住み始めてはや16年。ファッションについては、なんだかすっかり、「みんな違って、だれも気にしない」、という状況になじんでしまいました。しかも、スーツを着て外出とか、ちょっとおしゃれに会食、などというシチュエーションもほとんど皆無。
しかし、お仕事でファッション関係のリリースを訳す機会を頂くこともあり、これではいけない、と最近、日本のいろいろな人のブログでおしゃれのお勉強中です。
もともと、日本で会社員をしていたころは、ファッション誌を読むのも好きでした。あのころ、今はなき「ヴァンテーヌ」が愛読誌だった私になじみがある単語は、「端正」「マダム」「クラシック」。
その当時には使われていなくて、最近よく見かける言葉としては、「抜け感」とか、「こなれ感」がありますね。文字を打ち込んでいて、ちょっと気恥ずかしい感じがしますが、ファッション関係を訳す時に、こういったいまどきの言葉がしっくり来ることもあります。ファッションも言葉も、時代と共に変化していくものです。だからこそ、常に情報を収集しなければなりません!
先日、私が携帯で、日本の「シックな装い」に関するとある主婦の方のブログを「ほー、おしゃれだなー」と感心しながら読んでいたら、それをのぞき込んだ娘が「シックってなあに?」と質問してきました。「thick(厚い)? sick(病気の)?」ですって。
「えー、ファッションがおしゃれなchicだよー」と答えたら、「そんな単語知らない」とのこと。サンプル数1件というおそろしく粗末な聞き取り調査ですが、おそらく、NZの10代の世代は使わない単語のようです。あれ、日本の若者は日本語の「シック」を使うのかしら(サンプル数ゼロのため確認できず)?
ところが、それから数日して、こちらの新聞のファッション面で、見出しに「Chic」が使われているのを見つけました。
記事の内容は、母親と13歳の娘でパリにお洋服を買いに出かけた、というもの。いいな、楽しそう。
ということで、キウイの母親世代には、「chic」という単語は使われているようです。
ちなみにchicはそのまま英語読みしたら、「チック」ですが、もともとはフランス語(だから、上記の記事でも使われているのでしょう)で、発音は「ʃíːk」(シーク)が一般的。カタカナの「シ」の音でOKです。「thick」のth(日本語にはない音)も、「sick」のsi(カタカナで書くとスィが近い)も違います。