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「売り子」体験記

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 先週は、娘の通う小学校で「売り子」になってきました。
 こちらの学校は独立採算制で、保護者からの寄付や資金活動が大事な運営資金の一部となります。もちろん国からの補助金は出ますが、PTA活動から学校への資金提供を法律で制限している日本とは違い、あれやこれやと策を凝らして資金を得るための活動をします。
 この資金活動の一環として、書籍の販売があります。業者が持ち込んだ簡易書棚に子供向けの本をずらりと並べ、流通価格より1、2割安く販売する、というものです。この書籍販売の店番を、たまたま校庭で出会った顔見知りの図書館司書の女性に頼まれて、断れずに行ってきたというわけです。
 まずはカード支払い用の機械の操作方法を教わりましたが、機械はことごとく苦手なので緊張しました。とはいえ、私の担当は昼休みの1時間だったため、放課後と違って保護者は来ず、買い物客は子供だけだったので現金処理で済み、やれやれでした。
 そのとき一緒だったSueは、たまたま娘と同じYear5のAliceのお母さんだったので、店番がてら、あれこれおしゃべりしました。話題の1つは、オーストラリアと合同で開催される全国一律テスト、Australian Testについてでした。
 娘が通う学校では、Year5とYear6がこのテストを受けますが、Science、Mathematics、Spelling、Englishから、何科目を受験させるかは親の選択にゆだねられています(受験科目ごとにお金を払う)。
 「先週のAustralian Testの算数、Aliceは受けた?」と聞いたところ、「ええ、とりあえずテストというものに慣れさせようと思って」とのこと。こちらでは、日本と違って、テストの成績に一喜一憂ということがありません。もちろん、教室で行うテストはありますが、毎回持って帰って、親に見せるということがないのです。
 「あの子はねえ、算数は得意じゃないのよね。ほんとに」とSue。「でも、ほかにもっといいところがあるから、いいのよ」とフォローする姿勢が、ニュージーランドらしくて、私が気に入っているところです。
 子供が好きなこと、得意なところを伸ばしてやる、というのがNZ式です。このため、クラスでは、算数や英語のリーディングは5つほどのグループに分かれ、出来る子はどんどん先へ進み、出来ない子はのんびりと基礎を学びます。もっとも、こんなにできないままでいいのか、という面もありますが、あくまでも自己責任、親のフォローにゆだねられます。
 日本のこともあれこれ知っている(日本は自殺率が高いのよねーと言っていた)博識のSueとのおしゃべりは、日本の教育システムや子供たちの先生の評判など、短い時間でしたが、色々と有意義な情報交換ができました。

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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