I’m here for a reason
無料でポストに入っているフリーペーパーの1つ、The Aucklanderで読んだ記事をご紹介します。お父さん、お母さん、そして11歳のかわいらしいEilishという女の子がにっこりと微笑んでいる掲載写真からはとても想像が付かない、Eilishの闘病生活についての記事です。
Eilishの脳、それも食欲や渇き、心臓の動きなどをつかさどる下垂体と視床下部のすぐそばに腫瘍がある、という診断が下されたのは、彼女がわずか2歳の時でした。頭蓋骨を切り開く大手術を受けましたが、切除するには腫瘍が密着しすぎていて、一部しか取り除けませんでした。このため、化学療法や放射線療法を繰り返し、さらに現在は投薬で進行を抑えています。
10歳まで生きられないだろう、と医者から宣告されていましたが、先日、11歳の誕生日を迎えることができました。薬が効果を発揮し、2歳で診断を受けてから初めて、「頭が痛くない日」を経験することもできました。
記事には、両親がいかにして闘病生活に取り組んできたかも紹介されています。お母さんは、「節約に節約を重ねて、老後のための貯金もなくなってしまいました。でも、娘が吐き続けているのを目の当たりにしたら、それを止めることができる薬があれば、いくらだって払うものでしょう」と、語っています。
そして記者が、何か手伝えること、実現できる夢がないか、とEilishにたずねます。しかし、答えは「No」でした。彼女の希望は、お金では買えないものだったのです。
彼女の希望とは、「5分でいいから、すべて普通という状態を経験してみたい。ものがちゃんと見えて、体温も今みたいでなくて、普通の子供みたいに大きくなれて、全部が正常なの」というものでした。
私は、こんな不幸な子供がいるのだから、それに比べて、ということを言うつもりはありません。それはEilishと、彼女を支えるご両親を始めとする、周囲の人々に失礼というものです。そうではなくて、この記事を読んで、はっと気付いたことがあったのです。
それは、毎日、平凡でありながら、何事もなく生活を過ごせることのありがたさ、大切さ、素晴らしさに対する、感謝の念が私に足りなかった、ということです。ちょうどその日、我が家の娘と同じ年齢の女の子を持つ知り合いから、その娘さんが学校のイベントの代表に選ばれた、という話を聞いた直後だったのです。そして、「いいなあ、家の子も何かでトップになってくれたら、さぞかしうれしいだろうなあ」なんて浅はかに思いながら、紙面を開いた時に飛び込んできた記事でした。
最後に、Eilish本人の言葉を紹介します。あえて訳しません。
“I always say I like my life and, obviously, I’m here for a reason.”