The Amateur Marriage
Anne Tylerの「The Amateur Marriage」を読了。第二次世界大戦中に出会った2人が結婚し、いくつもの口論を重ね、いろいろな出会いや別れを経験し、とうとう30年目の記念日を家族で祝う。ところが、この記念日の夜のあるやりとりがきっかけで、2人は・・・。
という話。1つひとつのエピソードがとてもリアルで、「うんうん、こういうことってある、ある」とうなずきながら読んでいった。エピソードごとに語り手が変わるので、それぞれの視点からのキャラクター描写がまたおもしろい。
読み終わって思うのは、結局、いくら結婚生活を積み重ねたって、いつまでも結婚の「アマチュア」なのだなあということ。結婚生活1年目はもちろん結婚生活そのもののアマチュア。結婚前には想像も尽かなかったことを発見したり、そのことで衝突したり、驚いたりする(そうじゃないカップルもいるでしょうが、我が家はそうでした)。
けれど、じゃあ10年たったら「結婚生活の達人」になるかといえば、そうともいえず、「10年目の結婚生活」についてのアマチュアだったりする。子供の成長と共に悩みがなくなるわけではなく、種類が変わるだけで悩みの種は尽きない。
そして、30年たったら、「30年目の結婚生活」のやっぱりアマチュアなのだろうなあ、きっと。
人生だって、同じことだと思う。0歳は人間そのもののアマチュアだけれど、1年たてば、1年たった次の年齢のアマチュアでしかない。そうやって、人生を試行錯誤しながら、いつまでもアマチュアのままで一生を過ごしていくのだなあと、しみじみと思った。でも、だからこそ、人生は素晴らしい。たぶん、きっと。
翻訳は、文春文庫から「結婚のアマチュア」で出ています。愚かしいながらも、いとおしい人間という存在への視点がなんとなく、ちょっと、重松清に相通じるものがある、と思うのは私だけかな。