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NZ総選挙

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 世界的にはアメリカの大統領選に注目が集まるのは当然ですが、実は11月8日は、ニュージーランドの総選挙でした。ニュージーランドの国会は一院制で、議員の定数は120人。全議員が3年ごとにが改選されます。小選挙区比例代表併用制を採用していて、69議席が小選挙区から、51議席が政党の比例代表名簿から選ばれます。
 選挙権は、18歳以上のニュージーランド国民、さらに、ニュージーランドに1年以上住んだことがある永住権保持者にも与えられます。Wikipediaによると、国籍にかかわらず外国人に参政権を与えている国は、世界で22ヶ国だそうです。
 ただ、日本のような戸籍や住民登録制度がないので、選挙登録をする必要があります。このため、選挙の前になると、「もう登録は済んだかな? 住所変更は終わっているかな?」と呼びかける広告をあちこちで目にします。
 この選挙登録は「義務」で、選挙権があるのに登録をしていないと、罰金も科せられるというものです。でも、私の周囲の日本人には永住権を持っていても関心がない人も多く、「選挙ってなんのこと? 英語の書類は夫にまかせきりで」という人も結構いたりします。
 かくいう私も日本では政治にまったく関心がなく、投票なんて無意味とまではいいませんが、「私が投票したって、変わるわけないし」と思っていました。
 しかし、ここはわずか人口420万人の小国。1票の重みが違う、という気がします。しかも日本と違って、法律の改正が非常にスピーディなので、選挙の結果は明確かつ直接的にすぐさま影響してきます。
 このため、せっかく頂いた選挙権を生かすべく、私はきちんと投票しております。ちなみに投票率は毎回下がっているとはいえ、今回の選挙でも74%ほどはあったようです。
 NZでは、国民党(National Party)と労働党(LabourParty)が2大政党で、政権を争っています。今回の総選挙では、予想どおり(というか、予想を上回るほど)の国民党の圧勝となり、ヘレン・クラーク率いる労働党は、政権の座を3期ぶりに国民党に譲ることになりました。
 ものすごく単純に分けると、労働党は労働者代表で貧困層の援助に厚く、国民党は雇用側代表で、富裕層を優遇します。ただし、税制、年金、教育、医療、雇用、移民、環境など、貧困と富裕という視点だけでは解決できない、様々な要因がからみあった課題が山積みです。
 今回の労働党の敗因は、一般の人々が労働党の政策に失望したこと、さらに、援助される側の貧困層も現状に不満を抱いていることでしょう。貧困層が多いオークランド南部で投票率が低かったのは、労働党に投票したくないが、さりとて国民党に投票するという切り替えができなかった人が多いため、と日刊紙ヘラルドで報じられていました。
 心情的には女性首相だったヘレン・クラークさんが去るのはちょっとさびしい感じ。でも投票は、超マイナー党であるActにしました。税制案が分かりやすく、私が属する所得層にとっては一番有利な提案だったからです。この党は、国民党との連携を発表していて、新政権では過半数を握る主流派となります。さて、今後3年間はいったいどうなるのでしょうか。
 そして最後に、今回の選挙活動でびっくりしたこと。それは、「選挙カー」が出現したことです! うちの選挙区では、労働党も国民党も、選挙カーで「よろしくー」とスピーカーを使って呼びかけていました。さすがに日本ほど絶叫型ではなく、ぼそぼそとしゃべっている、という感じでしたが、それでもこれはびっくりです。だれか選挙関係者が日本に行って、「このツールはいい!」とでも思ったのでしょうか?
 実はAct党にしたのは、この選挙カーがいやで、選挙カーを使っていない(たとえ使いたくても、マイナーで使えない)党から選んだ、というのもあるんです。

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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