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日本の子供たち

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 真冬の日本から真夏のニュージーランドに戻ってきました。セミがジージーと鳴き、太陽がぎらぎらと輝き、まさに夏。なんだかまだ体がついていっていない感じで、ぼーっとしています。
 ちょうど日本に滞在していた時にニュースで取り上げていたのは、子供の体力低下でした。文部科学省の「体力・運動能力調査」によると、子供の体力・運動能力は昭和60年ごろから現在まで低下傾向が続いています。現在の子どもの結果をその親の世代である30年前と比較すると、ほとんどのテスト項目において、子どもの世代が親の世代を下回っています。たとえば50メートル走は、今の子供の平均が男子8.9秒、女子9.2秒なのに対し、親世代の平均は男子8.7秒、女子8.9秒です。
 このニュースで納得したことがあります。実は我が家の娘はかなりの運動音痴で、ニュージーランドの学校の長距離走の順位は毎年、後ろから数えた方が断然早いのです。ところが、体験入学させてもらった日本の学校の5分間走では真ん中ぐらいの順位だった、とうれしそうに報告してくれたのです。
 前回の滞在時の運動会のリレーでは、トップを走る娘を見て、「そんなはずはない、人間違えだ」とビデオ録画をやめてしまった私の前を、本当に娘が通り過ぎていったのにはびっくり。後で、「せっかく一番だったのに、録画してくれないなんて!」とさんざん娘から怒られました。
 こういうことがあったので、ひょっとして日本の子供たちはNZより運動ができないのかなと思っていたのです。
 報道によると、日本の子供たちは、特に都市部では忙しすぎて、体を動かして遊ぶ時間がとれません。そのために運動能力が落ちているとの説明でした。
 そう、日本の子供たちは忙しいのです。
 ある友人のお子さんは国立の小学校に電車通学しているので、駅で落ち合って制服から私服に着替えた後、お弁当を受けとってそのまま塾に行き、帰ってくるのは10時半とのこと。
 また、別の友人のお子さんは、小学校受験のために朝6時に起きて勉強させていたそうです。
 そして、みんな口をそろえて言うのは、これが当たり前で、みんなやっている、ということ。
 私は、受験や塾に反対なわけではありません。なにしろ自分が中学受験した組なので。小学校時代は塾に加えて、ピアノレッスンが週に1回、バレエのレッスンが週に2回、土日も模試や講習などがあって、かなり忙しかったはずです。ピアノは練習する時間がとれなくて、朝、登校前にやっていました。でも、特に負担に思わず、周りも同じような生活を送っている子ばっかりだったので、それこそ、これが当たり前と、疑問に思わず過ごしていました。むしろ、いい環境を与えてもらって、親に感謝しています。
 だから勝手な推測ですが、今の子供たちも、みんながつらい思いをしているわけではないと思います。ただ、身長や体重が伸びているのに、子供たちの運動能力が下がり続けている、というのは恐ろしいことに思えます。
 また、ニュージーランドには受験で燃え尽きて、学校に通えなくなった大勢の子供たちが新天地を求めて(または親に勧められて)、日本からやってきます。
 どうなる、日本。どうする、日本。

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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