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ささやかな国際交流

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 先週は2年に一度の娘のバレエの発表会で、その前の数週間は特別練習、写真撮影、リハーサルなどでばたばたしていました。こういうとき、親は、運転手兼ヘア・メークアップアーティスト兼秘書に徹して、ほかの習い事や行事も考慮しながら、予定をクリアしてく必要があります。こんなときに限って、お友達の誕生日パーティー、しかも泊まりがけのお誘いが来たりするんですが。
 そしていよいよ発表会当日、衣装を着て、ヘアとメイクが完成したら、親は、次の着替えまでは特にすることもないので、控え室で待つことが仕事になります。次の2年後の発表会になったら、娘も13歳なので、もう、親が付きそわなくても自分で着替えができるはず。でも、今はまだ、娘は髪のお団子が自分でできないので、衣装に合わせてヘアスタイルを変えてやるために、私が待機している必要があるのです。本を読んだり、周りのお母さんたちとおしゃべりしたりして、時間をつぶします。
 今回、主におしゃべりしたお母さんは、韓国人のスーザンとインド人のパトリシア。ちなみに、こちらの韓国人、中国人は、オリジナルの名前以外に、英語の通称を持つのが一般的です。英語圏の人には、本来の名前は発音しにくく、いやがられるからです。日本人は、どうも自分が英語名で呼ばれることに抵抗があって、こういう割り切り方ができない人が私を含めて多いようですが。
 まず最初に、私とスーザンが同じ言語をしゃべっているわけではないことをパトリシアに説明。日本も韓国も中国も似たようなものだと思っている人は、実際にこの国にはたくさんいます。「全然違うのに、どうしてこんな勘違いをするのだろう」と、以前は思っていました。ところがあるとき、私にはフィジー、トンガ、サモアはなんだか同じような感じに思えるのに、「全然違うわ!」とはっきり言われたので、「あ、アジアの国々をいっしょくたにする人と同じことをしてしまったのだな」と理解したのでした。
 そして、おしゃべりの中で、パトリシアが今度のホリデイに初めて、家族でスキーに出かけるという話から、「人生で初めて雪を見ることになるわー」と言うので、残り2人はちょっとびっくり。たしかに、オークランドは氷点下になることがなく、雪は降りません。ひょうは、かなりひんぱんに降りますが。インドも、パトリシアによると、北部は寒く、雪が降る地域もあるそうですが、彼女の出身地は南部だったので、今までの人生で雪を見る機会がなかったそうなのです。
 そこから、スーザンが「韓国の冬は、きりっと寒くて、すがすがしい」と言いだし、「あ、それ、日本も同じ」と私が言うと、パトリシアに「オークランドの冬と違うの?」と聞かれました。そこで、2人で、気温はオークランドより低いけれど、オークランドのように雨がしょっちゅう降ることがなく、乾いていて・・・と一生懸命説明しましたが、なにしろインドとオークランドの冬しか知らないパトリシアに、「きりっと、すがすがしい冬」を説明するのは非常に難しく、分かってもらえたかは疑問です。
 そして、パトリシアの出身地を私が質問すると、彼女は非常に誇らしげに、「ゴアよ」とのこと。ゴアは400年前にポルトガルに占領されたので、今でもポルトガル語の教育があり、非常にポルトガル色が強いとのこと。パトリシアの説明で印象に残ったのは、「インドのほかの都市と違って、非常にwesternizedされているのよ」と誇らしげだったことです。そっか、westernizedって誇りなのね、となんだか興味深かったので。
 そんな感じで、非常にささやかではありますが、国際交流に発展しながら、発表会の待ち時間は過ぎていったのでした。

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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