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L10N

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 私が取っている翻訳コースの必須科目である、「Translation Study」の今回のAssignmentのテーマは、Localisation(表記はNZで取り入れられている英国式。アメリカ式だとLocalization)。IT産業を中心とするこの分野がいかにして翻訳を与えてきたかを考える、というもの。
 英語ではLocalisationはL10N、GlobalisationはG11N、InternationalisationはI18Nと略します。Localisationをテーマにした論文では、ごくごく普通にこの略語が使われます。さて、最初と最後のアルファベットの間の数字は何でしょうか? 答えは、間のアルファベットの数なのです。英語ならではのおもしろい略し方だと思います。
 そういえば、日本の翻訳学の大家である柳父 章氏の著作を読んでいた時に、「日本語では外国からの新語が4音か3音になる傾向が強い。これは古来、中国からの言葉を4拍、3拍で読んできた影響ではないか」というくだりを読んで、なるほど!と思いました。パソコンしかり、リストラしかり、ハリポタしかり、メタボしかり。
 まだ日本語ではL10Nが「ローカリ」になったり、G11Nが「グロバ」になったりはしていないことを考えると(ですよね?)、言葉としての社会への浸透度、影響度が低いということなのでしょうか。しかし、翻訳業界に及ぼした影響は計り知れないものがあり、それ自体が翻訳理論のテーマの一つとなり始めています。オークランド大学の翻訳コースの責任者であるFrank Austermuehl教授は、このLocalisationの研究に関する第一人者で、あちこちの文献に引用されています。映画「Matrix」のAgent Smithにちょっと似ている感じ(こんなこと考えながら授業を受けていたのは私ぐらいでしょうが)のドイツ人。世界中を飛び回ってめちゃくちゃ忙しいそうで、今期の授業はありませんが、前期に担当されていた授業は生徒からの建設的な意見と積極的な参加を求めるもので、緊張感が漂い、Assignmentの要求度も高く、厳しいものでした。
 ちなみに柳父氏の著作は、翻訳者として日本語と英語に取り組むための基礎知識として読んでおくと参考になるかもしれません。直接の役には立たなくても、興味深いと思います。翻訳理論の「古典」としては「翻訳語成立事情」が代表作ですが、私には、「近代日本語の思想 翻訳文体成立事情」がより実例が織り込まれていておもしろかったです。こういった本は、ありがたいことに私が通うオークランド大学の図書館にそろっています。
 なんだか今回はとりとめもなく、思いつくままに書いてしまいました。まあ、せっかく大学で勉強しているので、たまには私なりのAcademicな話題も織り込んでみましょう、ということで。

 

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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