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CVの書き方

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 大学の授業は一段落。あとは提出したAssignmentsの結果を待つばかり。先週は、授業がある間は時間が取れなった大学のCareers Servicesに、CV(履歴書)の添削をしてもらいに行きました。Translation Practiceの授業の課題の一つとして、すでにCVは作っていたのですが、これは、必要最低限の情報(氏名、連絡先、学歴、職歴)だけをまとめたA4 1枚のもの。翻訳会社の仕事募集に応募するには、これだけで十分です。特にニュージーランドの翻訳会社に就職するつもりはないのですが、せっかくだから、ニュージーランド社会が求めるCVというものを作ってみよう、と思ったのです。
 このCareers Servicesでは、CVの作り方、面接の練習、仕事の適性などについての相談を受け付けています。今では日本でも同じようなサービスを大学が提供しているとは思うのですが、私が日本で就職活動していた90年代前半はまだ景気が良く、売り手市場と言われていて、こういったサポートサービスはありませんでした。文学部だから特にのんびり(浮世離れ?)していたのかもしれませんが、就職が決まってから、就職先を報告しに行っただけでした。
 現在のNZの就職状況も日本と同様、大変厳しく、特に若手市場が冷え込んでいるようです。さらに日本と違って、いっせいに就職活動を始める、ということはありません。なにしろ企業に、「新卒採用」という概念がないのです。もちろん、卒業するまでに並行して就職活動、つまり企業へのアプローチをしている学生もいると思います。でも、まずはパートタイムやボランティアから始めて、企業に認めてもらう、という方法を取る学生も少なくありません。あと、知り合いのコネを使って就職先を紹介してもらう、という手も多いのは事実。だから、人的ネットワークは大事にしましょう。
 また、卒業したらとりあえず、OE(Overseas Experience)と称して、ワーキングホリデーや旅行などの半年〜1年といった長期休暇を取ってから就職、という学生も多いのです。なので、大学のCareers Servicesも卒業後、2年間有効だそうです。
 さて、私が当日にチェックしてもらうCVは、このCareers Servicesのサイトの資料を参考にして作ってみました。始めに氏名や住所、電話番号、生年月日、国籍などの基本情報、その次に学歴(ただし大学からで十分)、職歴、資格を書いて、翻訳者に必要なコンピューター環境や翻訳した物件紹介を並べ、最後に私の希望するレート、そしてReferencesはAvailable on requestとしました。最後のReferencesは、欧米社会では必須の情報です。なので、海外への転職を考えている場合は、いいReferenceを提出してもらうために、くれぐれも上司ともめることがないように。
 さて、私のCVを見たコンサルタントの女性がまず指摘したのは、「生年月日と国籍は入れなくていい」ということ。ニュージーランドでは年齢・国籍を採用基準にすることは認められていないので、これは入れないでいいそう。ただし、必ずしも絶対的なものではなく、Translation Practiceの講師は、「日本人であること、それに、年齢も場合によっては翻訳経験を示す強みになるので、入れた方がいい」という意見でした。
 さらに希望レートも、「このレートが相手の企業にとって高すぎても、低すぎても、あなたの可能性を狭めることになるから入れない方がいい」とのこと。翻訳会社によっては希望レートを入れるよう指示しているところもあるので、そういう場合を除いて、レートに関する情報は入れないほうがいいようです。
 さらに、私のCVは、「個性がない。あなたというものが見えてこない」ということでした。そこで、学歴の前に Key Skills and Qualitiesを入れることにしました。私の場合なら、日本企業の広報部で培った日本語力、とか、翻訳者としての5年間の豊富な経験、とか、です。こうやって日本語で書くとこっぱずかしいですが、なにしろコンサルタントによると、「CVはあなた自身のマーケティングツールなの。だから、思いっきりアピールしないと」なのです。さらに、私自身のキャラクターを示すために、最後に「趣味」も入れました。興味を持たない人事担当者が多いでしょうが、「興味を持ってもらえたらもうけもの」という感じらしいです。ちなみに私の場合は、ガーデニング、ピアノ演奏、ウォーキングにしました。
 あと、日本ではなじみがないですが、CVには必ずCover Letterを付けます。このLetterによって、自分がいかに優れた人材であるかを簡潔にアピールすると共に、CVには入れられない情報を補足することができます。たとえば私の場合、2001年に日本の企業をやめた後、翻訳者として仕事を始める2005年までのブランクの説明(ニュージーランドへ移住後、主婦としてすごした)を入れます。
 ということで、30分ほどのコンサルティングのあと、CVのサンプルを集めたファイルを見せてもらいました。それぞれの人がレイアウトやアピール内容に工夫を凝らしていて、見ていておもしろかったです。

 ということで、簡単にニュージーランド流CVのまとめ。

1. 枚数の目安はA4 2〜4枚程度
2. 書体はArial 10〜12ptが好ましい。
3. CVの内容は、募集に合わせてtailor-madeにすること。
4. 学歴、職歴は新しいものから古いものの順にすること。

さらに、Cover Letterについては
1. 枚数は必ず1枚におさめること。
2. 書体はCVと同じにすること。
3. ハードコピーを渡す場合は、最後にサインを忘れずに。

という感じです。

オークランド大学のCareers Servicesのサイトに、CVの書き方に関する詳しい情報が載っています。大変分かりやすく、ニュージーランド社会で求められるCVについて説明されていると共に、学部別のサンプルもアップロードされているので、もし良かったら参考にしてみてください。→ http://www.auckland.ac.nz/uoa/preparing-cv

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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