本のデジタル化
2009年12月25日は、Amazon.comにとって記念すべき日だったそうです。そう、デジタル本の売上げが初めて、紙の本を上回った日だったのです(New Zealand Herald、"Ready yourself for the triumph of the e-book":http://m.nzherald.co.nz/story/technology/10625741/)。知り合いから聞いたところでは、すでにNZの大学の中には、Kindleを導入しているところもあるそうです。
総じて日本に比べて、電気製品を始めとするテクノロジーの遅れを感じるNZ。たとえば冷蔵庫はいまだに、自動製氷が最新鋭の機能に位置づけられています。
その一方、教育のデジタル化については、日本よりずっと早いです。たとえば娘の中学校はごくごく平均的な公立の学校ですが、1教室に1つ、スマートボードが導入されており、授業の検索や発表などに活用されているようです。スマートボードとはいわゆる電子黒板で、パソコンの操作がボード上でできる上、書き込みもできるというもの。今は、教室のスマートボードをネットに接続して、昼休みには先生も一緒に、オリンピック観戦のデジタル放送を観戦していたりしているそうです。パソコンを使っての宿題も当たり前に出されます。そのうち、高校なんかでもすぐにKindleか、iPadが導入されそうな勢いです。
確かに、英語圏ですからKindleを使うのは当たり前、といえば当たり前。それに、なんといっても、NZの本は高い! ペーパーバックでも20〜30ドルします。日本の文庫本が2000円とか、3000円という感じです。ましてや大学の教科書となったら、あっという間に何百ドルになるでしょうし、なによりかさばります。デジタル化の恩恵を大きく教授することができる分野でしょう。
それにしても、日本の本に関するデジタル化の動きは、国外から見ていると、案外と遅いように思えます。日本ではようやく、大手出版社21社で話し合いが始まった段階である、とネットのニュースで見ました。いろいろと各社の思惑がからんでいるようですが、デジタル化が遅れている根本的な要因の一つに、私は本が豊富で安いから、ということがあると思います。つまり、デジタル化がそれほど必要とされていない、ということです。
私のように日本の本が簡単に手に入らない立場であると、今回の日本への帰省でもついつい本を買いすぎて、案の定、入りきらず、別便で送る、というはめになりました。本は重いので、送料が2万円、ということになってしまうのですが、私にとっては必要経費です。これがもし、デジタル化されたら、どれだけありがたいか。
Kindleが出たときには「おっ」と思いましたが、モノクロのKindleに対して、iPadはカラーだし、機能性もKindleより高いそうなので、私としてはさらに楽しみです。
そういえば、まだ日本で会社員をしていたころ(かれこれ15年ほど前のことです)、電子新聞という構想が大手印刷会社から発表されました(そのあとどうなったのだろ?)。そのとき、当時の上司だった課長さんが「おれは絶対、紙の新聞がなくなることはないと思う。スクリーンで新聞を読むなんて考えられない」と言っていたのに対して、私は「いや、あと10年もしたら、絶対に紙ではなくなると思う」と対決し、なにかをかけることにしたことを思い出しました。なんだか懐かしいなあ。
しかし、なにからなにまでデジタル機器に依存する生活って、万が一この機器が壊れたときのことを考えると、恐ろしい感じもします。でも、もう携帯電話がない生活が考えられないのと同様、本をデジタルで読んで、「昔はかさばっていたよねえ」と言うのもそんなに遠い先ではない、という気がします。