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Plagiarism

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 こちらでMBAを履修している知り合いの日本人女性が「提出したレポートがPlagiarismで再提出を求められて、書き直しで大変」とのこと。Plagiarism、すなわち「剽窃」を、まじめで非常に優秀な彼女がするはずはなく、メンバー4人共同でやっていて、中国人女性が担当していた箇所に発見されたそう。最近は、データベースとの照合で、過去のデータとのマッチ率がすぐに出てしまうのだ。しかも、Plagiarismを防げなかった連帯責任として、そのレポートの成績はいやおうもなく低くなってしまうとのことで、ずっと必死で努力をして、素晴らしい成績をキープしていた彼女は非常にくやしがっていた。
 Plagiarismについては、去年、私がオークランド大学で授業を受けていた時、すべての講師が「絶対にやってはいけないこと」ととして最初に注意していた。Academic Writingとは、ほかの人が発表していないことを自分の意見として発表して、それの評価を受けるものである。だから、ほかの人の引用は自分の意見と区別して、きっちりと明示する必要がある。それは、論文だけではなく、授業で課せられるAssignmentでも同じことである。
 Reference用のソフト、Endnoteを使えば、学会や分野別に細かく指定がある数百種類のフォーマットから選んで、データベースの情報をReferenceとして利用することができる。英語圏の学生にとっては必需品のこのソフトは、学割で5ドルで買えた。
 大学だけでなく、娘が通う中学校(日本の小学5、6年に相当)でも、インターネットを使ってレポートを書いた場合、使ったサイトのURLを明記しなければならない。
 ひるがえって20年前、私はなんとか卒業論文を提出したが、そもそもAcademic Writingとはなんぞや、などと考えたこともなく、読書感想文の延長でだらだらと書きつづっていた。Referenceも見よう見まねで、参考にした書籍の題名をならべただけだった。ああ、恥ずかしい。でも、大学から卒業論文に求められる要件として提示されたのは、字数や印刷書式ぐらいだった(と思う、たぶん)。さらに、ドイツ文学を専攻していながら、Abstract以外は全部日本語でよかった。こちらの知り合いに、非常に驚かれたけれど。
 グローバル化が進んだ日本では、大学の教え方も変わっただろうと思っていたのだが、そうではないらしい。先日、早稲田大学でようやく、Academic Writingを学生に教えるようになった、という記事を読んだ(読売新聞の記事ですが、読売は個別の記事へのリンクを禁止しているので、「読売 早稲田大学 アカデミック・ライティング」で検索してみてください)。早稲田大学のアカデミック・ライティング・センターのリンクはこちら→http://www.cie-waseda.jp/awp/index.html
 さらに偶然、翻訳通信2010年2月号で、山岡洋一先生がPlagiarismをされた経験を書いておられた(http://homepage3.nifty.com/hon-yaku/tsushin/bn/201002.pdf)。ご自分の文章が有名な教授の論文にごっそりと使われ、メールで抗議したにもかかわらず、誠意ある対応が得られず、法的対処も辞さない構えだ、とのことだった。
 そりゃ、そうだ。学生の見本であるべき教授自らがPlagiarismをしてどうする? 
 ちなみに山岡先生の翻訳通信は、有益な情報が載っているだけでなく、いつも私の翻訳に対する精神的な居住まいを正させてくれます。まだの方はぜひ!

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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